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親族や他人から財産をもらった人には贈与税が課税されます。なかには「税務署に申告しないで、贈与税を払わないでおこう」と思う人がいるかもしれませんが、贈与税の申告漏れや脱税はいつか必ずばれてしまいます。その理由と、税金がかからない贈与の方法を解説します。

贈与税を正しく申告しないと結局損をする

ここまでお伝えしたように、贈与税の申告漏れ・脱税は必ずばれてしまいます。申告漏れや脱税が見つかった場合は、納めていなかった贈与税を納めるだけでなく、以下のようなペナルティが課されます。

 

  • 無申告加算税:申告を忘れていたことに対するペナルティとして課税
  • 重加算税:わざと申告しなかったなど悪質な場合に無申告加算税の代わりに課税
  • 延滞税:納税が本来の期限より遅れたことに対するペナルティとして課税

 

これらの加算税が加わることで、はじめから正しく申告するよりも損をする結果になってしまいます。

もらった財産に贈与税がかからない3つの方法

年間で110万円を超える財産をもらった場合は贈与税がかかります。ただし、一定の条件にあてはまる場合は贈与税を0にすることができます。ここでは次の3つの方法をご紹介します。

 

暦年贈与をする

はじめにお伝えしたように、贈与税は年間で110万円を超える贈与を受けた場合に申告しなければなりません。つまり、年間に受けた贈与が110万円以下であれば申告の必要はありません。

 

暦年贈与として年間110万円以下の贈与を繰り返して受けることで、贈与税を払うことなくまとまった金額の贈与を受けることができます。

 

なお、贈与の金額と期間があらかじめ決められている場合は、連年贈与として「毎年の贈与額×年数」の金額が一括贈与されたことになります。その場合は高額の贈与税が課税されてしまいます。

 

■各種非課税制度を利用する

次にあげるように、贈与税には一定の条件のもとで贈与税を非課税にするさまざまな制度があります。条件にあてはまればもらった財産の贈与税を0にすることができますが、贈与税の申告や専用口座の開設などの手続きが必要です。

 

  • 相続時精算課税制度:親子間であれば2,500万円まで一旦は非課税
  • 住宅取得等資金の特例:マイホーム購入の資金援助は最大3,000万円まで非課税
  • 教育資金の一括贈与の特例:教育資金の援助は1,500万円まで非課税
  • 贈与税の配偶者控除:結婚20年以上の夫婦間の自宅の贈与は2,000万円まで非課税
  • 結婚・子育て資金の一括贈与の特例:結婚や子育て資金の援助は1,000万円まで非課税
  • 障害者への贈与:最大6,000万円まで非課税

 

なお、教育資金の一括贈与の特例と結婚・子育て資金の一括贈与の特例については、2019年(平成31年)4月1日から制度の内容が変更されています。財産をもらう人について所得制限(1,000万円以下)が設けられたことが主な変更点ですが、詳しくは税理士に確認してください。

 

生活費や教育費などに充てる

夫婦、親子、兄弟姉妹など扶養家族の間で生活費や教育費として贈与されたものには贈与税はかかりません。家族を扶養するためのお金のやりとりに課税することは適切ではないからです。

 

学費や下宿先での生活費を親に負担してもらう場合や、結婚費用や出産費用を援助してもらう場合などでは贈与税はかかりません。ただし、通常必要とされる範囲を超えている場合は課税の対象になる可能性があります。

 

また、生活費や教育費として贈与を受けたにもかかわらず、株式、不動産、車の購入など本来の用途以外に使った場合は贈与税が課税されます。

正しい方法で節税しながら適正な申告を

ここまで、贈与税の申告漏れや脱税はどうやってばれるのか、代表的な事例をご紹介しました。

 

贈与税は申告しなかったとしてもさまざまな方法で調査が行われ、いずれはばれることになってしまいます。申告漏れや脱税がばれた場合は、本来の税額を納めるだけでなく加算税や延滞税などペナルティもかけられるため適正に申告を行う必要があります。

 

贈与税には、一定の条件のもとで非課税になるさまざまな制度があります。正しい方法で贈与税を低く抑えたい場合は、贈与税に詳しい税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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