(写真はイメージです/PIXTA)

想像はしたくありませんが、もしも自社で事故が起きて労災認定されてしまったら…会社はどのような責任を負い、どのような影響を受けるのでしょうか。本記事では、企業の労務管理に詳しい弁護士法人 咲くやこの花法律事務所の代表弁護士の西川暢春氏が、会社が労災認定された場合に受ける影響について解説します。

2.被災社員の解雇が制限される

労災による被災社員の解雇が制限される、ということは、労働基準法第19条で

 

 

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

 

 

というように定められています。

 

つまり、被災社員が労災によって治療のために休業する期間と、その休業が終わった後30日間は解雇が禁止されます。これにより労災が認定された結果、従業員の解雇が制限される、ということがいえます。

 

しかし、下記のように、例外的に解雇が可能なケースもあります。

 

・打切補償として1200日分の給料を支払った場合

打切補償として、治療開始日から3年経った時点で、1200日分の給与を払った場合は解雇が可能となり、これについては労働基準法で定められています。

 

・被災社員が労災から傷病補償年金の支払いを受けている場合

治療開始から3年経った時点で、労災から「傷病補償年金」という年金をもらうようになっている場合は解雇が可能です。

 

・事業継続が不可能な場合

やむを得ない事由のため、事業の継続が不可能な場合、解雇は可能です。

 

・定年の場合

休業中に定年を迎えた場合は、定年で退職、という扱いをしても問題ない、とされています。

3.労災保険料が上がる場合がある

労災について「メリット制」の適用がある会社は、労災認定されることにより、労災保険料が上がることがあります。

 

「メリット制」というのは、労災事故が多い会社は労災保険料が高くなり、労災事故が少ない会社は労災保険料が安くなるようにすることで、労災を減少させよう、という制度です。

 

このメリット制の適用を受けている会社は、過去3年分の労災保険からの給付額に応じて、次年度の労災保険料が決まるという制度になっており、労災事故が起こったことによって労災保険から給付を受けると、次年度の保険料が最大40%増額される、という制度になっています。

 

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