本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』を転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

マイナスの実質金利が実物投資や資産価格を支える

米国が世界景気をけん引する理由として、財政出動もありますが、金融政策が緩和的であることも大きいと見られます。

 

以下の図で示すとおり、主要国の実質政策金利を比較すると、米国が最も低く、金融政策のスタンスが最も緩和的です。それは、高いインフレ率のためだけではなく、高いインフレ率に対してゼロ金利政策を続けているという「政策反応」によって実現しています。

 

マイナスの実質金利が、企業の設備投資や在庫投資、家計の住宅投資につながるほか、金融資産価格と個人消費を支えると見られます。

 

[図表3]主要国の実質政策金利(政策金利マイナスインフレ率)
[図表3]主要国の実質政策金利(政策金利マイナスインフレ率)

 

企業の設備投資について、パンデミック前は、企業が投資の機会を見出せず、「長期停滞論」が言われていました。

 

しかし、早期リタイアを含むパンデミック後の労働者不足に直面し、企業は省力化・自動化投資に取り組むと見られます。

 

1.(資本で調達すれば高いが、負債で調達すればゼロ金利で済む)資本コスト、
2.(高齢化を含め労働供給の不足が拡大する中での)労働コスト、
3.テクノロジーの進化

 

を考え合わせれば、「資本(機械)による代替」はますます進む可能性があります。企業は、売上高が伸び悩む局面でも利益を増やすことを求められるため、生産性向上やコスト削減により、マージンの確保に努めると見られます。

 

また、企業の在庫投資について、パンデミック前は「ジャスト・イン・タイム」システムの下で、在庫を減らす方向でした。

 

しかし、企業は現時点で深刻な在庫不足に直面していますし、今後を考えると、生産停滞の継続による仕入れ価格の再上昇を恐れ、多くの在庫を早めに確保するインセンティブ(誘因)を持ちます。さらには、パンデミックを機に在庫の水準を増やす可能性も考えられます。

 

大幅なマイナスの実質金利は、米国のみならず、世界の企業による設備・在庫投資を後押しする可能性が考えられます。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/21開催】金融資産1億円以上の方のための
「本来あるべき資産運用」

 

【5/21開催】ドクター・高所得サラリーマン必見!
今できる「中古太陽光」を活用した個人の節税対策

 

【5/23開催】継がせる、売る、税対策も可能な
「自社株承継」とは?後継者への承継を悩む
社長の事業承継の進め方

 

【5/25開催】業者がうたう“表面利回り”を鵜呑みにするな!
あらゆる事態を想定した「不動産投資の収支」大研究

 

【5/25開催】「京都の町家」投資の魅力
減価償却も可能!京町家だから実現する投資法

 

【5/26開催】~富裕層のファミリーガバナンス~
相続問題、夫婦の資産管理、家族経営の問題…
家族関係を意識した「資産管理・保全・防衛策」

【ご注意】
•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録