国が予算1兆円を投じて成立させた「事業再構築補助金」。いざ補助金を申請しても、入金されるまでに期間を要するため、経営者は申請から入金までの時期の資金繰りに頭を悩ませます。そのような課題を解決すると期待される「補助金対応POファイナンス」について、当サービスを提供するTranzax株式会社代表の大塚博之氏が講師を務めたセミナーを基に、全2回で紹介します。前編となる今回は、補助金のデメリットである「申請から入金までの資金繰りストレス」を解消する、「補助金対応POファイナンス」とはどのようなサービスか見ていきます。

補助金対応POファイナンスの仕組み・流れとは

補助金対応POファイナンスとは、省庁や地方自治体が運営する補助金制度の“交付決定”を発注(Purchase Order)と見做し、省庁等から委託を受けた事業会社(または省庁等みずから)が電子記録債権を発生させることで、当該電子記録債権を担保に金融機関との融資取引を可能とするサービスです。

 

補助金対応POファイナンスは、2019年の閣議にて令和元年度のアベノミクスの成長戦略に選ばれました。

 

他の補助金にも展開していこうということと、提携金融機関を3年以内に150機関に増やしていこうということが閣議決定された結果、年度が替わった2020年4月以降に中小企業庁のものづくり補助金の2年目の採用をはじめとし、経済産業省や環境省、観光庁の補助金の他、岡山市や京都市などの自治体、ならびに東京都の外郭団体での複数の補助金でも採用が進んでいます。

 

続いて、POファイナンスの概要・流れを[図表1]の番号に沿って説明します。

 

[図表1]補助金対応POファイナンスの概要図
[図表1]補助金対応POファイナンスの概要図

 

まず、事業会社は補助金を申請し、中小企業基盤整備機構が採択を行います(①)。採択からおよそ1ヵ月後、採択者には、具体的な補助金交付額が記された交付決定通知が届きます(②)。

 

POファイナンスを使う場合は、採択通知書や交付決定通知書などをエビデンスに、資金が必要なタイミングに合わせて、銀行にて審査を行う必要があります()。

 

審査の結果、POファイナンスを利用する場合は、交付決定通知のコピーをTranzaxに送り、事務局とTranzaxの間で通知書の内容を記録機関に記録(登記)します(④,⑤)。

 

記録(登記)完了後、金融機関に債権譲渡し、担保融資を受けます()。融資を受けるまでの流れは以上です。

 

融資を受けたら、補助事業を行ってください。事業が完了したら、事業報告を行い、検査を完了し、事務局に補助金を請求すると、補助金は最終的に決済銀行の銀行口座に振り込まれ(⑦)、融資金融機関は、決済銀行経由で、直接融資金を回収します(⑧)。

 

もし残金があれば、決済銀行から事業者の銀行口座に振り込まれます。この仕組みにより、事業者は返済の手間が省け、融資金融機関の担当者も、自動的に補助金のつなぎ融資が回収できるため、安心して融資が行えるわけです。

 

 

大塚 博之

Tranzax株式会社

代表取締役社長

 

 

 

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