(※写真はイメージです/PIXTA)

小児科医である岩山秀之氏の著書『希望の薬「スピンラザ」』より一部を抜粋・再編集し、難病指定されている脊髄性筋萎縮症について、電気車椅子の患者「かけるくん」の症例をもとにを紹介します。

電気車椅子の少年・かけるくんとの会話に驚いた医師

私は愛知県にある愛知医科大学で小児科医をしている岩山秀之と申します。かけるくんとは大学小児科の一般外来で初めて会いました。その日は月曜日で、たまたま担当の先生が夏休みを取っていたので、私が代わりに一般外来の診察をしていました。

 

大学の一般外来というのは、いわゆる風邪や肺炎、胃腸炎、インフルエンザなどの一般的な疾患を診察する外来です。小児科クリニックに受診するときをイメージしてもらうとわかりやすいですが、体調が悪い患者さんが受診したときに、まず診察を行うという役割があります。

 

普通の小児科クリニックとの違いは、さまざまな難病を抱えている患者さんが受診することです。例えば、脳性まひやてんかんなどの小児神経疾患、白血病や固形腫瘍などの小児血液・腫瘍疾患、慢性腎炎などの腎疾患、などを抱えた患者さんが風邪を引いたときに受診します。

 

かけるくんは、お母さんと一緒に電動車いすに乗って入室してきました。そのとき、私はかけるくんを特に気にすることもなく、

 

「今日はどうですか?」

 

とお母さんに声をかけました。小児科では患者さん本人から症状を聞く(問診と言います)ことは少なく、お母さんから問診を取ることが多いのです。

 

そのうえ、かけるくんは電動車いすに乗ってきたので、私は先入観で脳性まひのお子さんだと思いました。脳性まひのお子さんは、軽症のお子さんでは足の運動障害があるだけですが、中等度以上になると手と足の運動障害と一緒に知的障害も合併します。電動車いすに乗るくらいの運動障害がある脳性まひのお子さんだと知的障害もあるだろうと早合点したのです。


すると、かけるくんが、

 

「先週の金曜日から熱があって、咳が出ます」

 

としゃべりました。


このときの私の偽らざる思いは、(この子、しゃべるぞ!)という驚きでした。知的障害のある脳性まひのお子さんだと思っていたら、かけるくんはこちらの問診に対してすべて自分で答えるのです。

 

小児科医の直観として、運動障害はあるけど知的障害はまったくないと感じました。

 

次ページ患者家族も驚いた、小児科医の入院判断

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『希望の薬「スピンラザ」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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