※画像はイメージです/PIXTA

遺言があっても、相続でもめることは多いものです。とくに相続割合に差がついていたり、会話の成立しない親族がいたりすると…。実際に起きた恐ろしいエピソードをご紹介します。※本記事は、一般社団法人相続終活専門協会の書籍 『プロが教える  相続でモメないための本』(アスコム)より一部を抜粋したものです。

理屈の通じない親族がいたら…どう対応すべきか?

実は今回の「争族」は、わりとよくあるパターンなのです。一樹さんのように、ちょっと気性が激しく、理屈の通じない兄弟(もしくはその配偶者)がいると、どんなに準備万端でも「争族」は免れません。

 

 

しかし、こうした事態でさえも、遺言の書き方を工夫すれば、状況はいくらか「まし」にできるのです。

 

■争族を避ける対策② 遺言執行者を定め・付言事項を加える

 

通常であれば、遺言を作成することで、「争族」の多くを未然に防ぐことができます。しかし、今回のケースのように会話の成立しない親族がいて、もめることが事前に予想される場合、公正証書という形での遺言作成はもちろん、遺言の内容についても、遺言とは異なる遺産分割を禁じる旨を明確に書くなどの対策が必要になります。

 

例えば、遺言内容が確実に実現されるように弁護士を遺言執行者として指定しておくなど、できるだけトラブルを予防することが賢明です。

 

なお、これは遺言の効力を強める意味とは異なりますが、「被相続人がなぜ遺言に書いたような相続割合を妥当と考えるに至ったのか」という理由を付言事項としてあわせて遺言に書いておくと、いくらかトラブルを回避できます。あなたの言葉が、相続割合の少ない相続人の理解を促すからです。

 

例えば「あなたは前回の相続で他の人よりも多くの相続財産を得たはずだから今回は我慢してね」といった具合に、遺言の相続割合は適正であることを主張しておくのです。

 

ちなみに今回のケースは、生前贈与や譲渡といった手法を使い、適正な取引価格とエビデンスを遺しながら、資産を早めに移転しておけば、「争族」は避けられたかもしれません。

 

理屈の通じない人が相手だと、たとえ法律があってももめごとは避けられません。そのような場合は「先に(生きているうちに)渡すことで遺産を減らしておく」という手も考えてみてください。

 

【争族を避けるポイント】

① 法律の定める方式に従って遺言を書く

② 遺言とは異なる遺産分割を禁じる旨を明確に記載する

③ 遺言に付言事項を記載し、相続人が遺言内容の理由を理解できるように努める

④ 弁護士を遺言執行者に指定しておく

 

 

貞方 大輔

一般社団法人相続終活専門協会 代表理事

 

 

プロが教える 相続でモメないための本

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江幡 吉昭

アスコム

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