本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。

海外では「ESG投資」に特化したファンドに資金流入

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

今回は「ESG(環境、社会、企業統治)投資」について取り上げたい。

 

「ESG投資」とは、投資先企業の環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとったESG要因を考慮する投資のことを示し、欧米を中心に世界的に広がりを見せている。

 

日本においてもESG投資は、長期運用を行う年金基金や運用会社など機関投資家中心に拡大。足元では個人投資家向けのESGファンドで純資産額が1兆円を超えるものも出てきている。とはいえ、欧米の投資規模との差を踏まえれば日本におけるESG投資の拡大余地は依然大きいと言えよう。

 

実際、データで見てみよう。

 

◆ESG特化型ファンドに継続的・安定的に資金が流入

 

EPFR(投資信託やETFへの資金の流れや分配に関する各種データの収集を手掛ける米国の調査会社)が公表している2020年初を起点としたESG特化型ファンドの国・地域別の累計資金フロー(2020年初~2021年5月26日まで)を見ると、先進国株は約31.33兆円、新興国株は約3.6兆円(1ドル=110円換算)のネット流入となった(日本株は5000億円程度、米国株は8.18兆円、欧州株は3.05兆円、図表1~6)。

 

【図表1】各国・地域別の資金フロー表

 

【図表2】米国株

 

【図表3】日本株

 

【図表4】欧州株

 

【図表5】先進国株

 

【図表6】新興国株

 

先進国の残高の伸びのペースをみると、ESGに力を入れる欧州は継続的に伸びているが、そのなかでも環境・クリーンエネルギーや多様性などを重視する米バイデン氏が2020年11月3日に実施された大統領選に勝利したことで米国のESG関連ファンドの残高の伸びが一段と加速(角度が切り上がる)していることが読み取れる(日本や新興国なども同様な動き)。

 

繰り返しになるが、海外のESGファンドと比較し、日本ではまだ出遅れ感が強く、今後一段の拡大も見込めよう。

 

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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