法改正のせいで新たなトラブル発生?
さらに、「請求は協議による」となっていますが、この請求によって相続人の相続財産は減ってしまうわけですから、相続人たちがすんなりと請求額を認めるとは思えません。相続人同士でトラブルが起きることも予想されます。
協議が成立しない時は「相続の開始を知った時から6か月または相続開始の時から1年以内に家庭裁判所に特別寄与料を請求することができる」ともありますが、家庭裁判所に申し立てをするにしても、被相続人への貢献度合いを考慮してもらえるだけの判断材料が必要となるでしょう。
そのためには、日付や出費のわかる介護日記などの記録、薬代やおむつ代、タクシー代など交通費のレシートや領収書、被相続人とのメールなどでのやりとりなどの記録が残っていないと、判断材料と認められない可能性があります。
介護した人がちゃんと報われる制度になるかと思ったのですが、詳しく知れば知るほど、請求はできても相続人の合意が得られずに、かえって新たなトラブルの種になりかねないと不安になります。
たとえ、家庭裁判所に請求したとしても、特別寄与についての認識が違えば、結局のところ、金銭の支給はないのかもしれないなあとも思うのです。「期待させたけど、実はできませんでした」という残念な制度にならないように、細やかな調整がほしい改正です。
安田 まゆみ
元気が出るお金の相談所 所長
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