近年、医学部部人気が高まっている。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などがあげられる。これによって、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦。全国の82医学部入試が難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

地域枠は地元の病院で一定期間働く必要が

地方高校から、医学部へ(地域枠入試)

 

一般入試で医学部を目指すのは苦しい茨の道です。では、地方高校の受験生にはこの道しかないのかと言えば、そうではありません。ひとつだけ地方高校から有利に医学部へ進める道があります。それが「地域枠」入試です。

 

地域医療の充実を考え、地域の人材を率先して育てたいという思いから、今や国公立、私立ともに医学部の約80%が「地域枠」を設けています。

 

地域枠ができる前は、全国の医学生の多くは、都市圏の中高一貫の卒業生が占めていました。彼・彼女たちは卒業後、自分の出身地に戻ってしまうので、都市は医師余り状態に、地方は医師不足状態に陥ってしまいました。これを解消しようと導入されたのが地域枠です。そのため、地域枠で入学した生徒は医学部卒業後、その医学部のある都道府県の病院に一定期間勤めることが条件となっています。

 

これまで国公立医学部を志望する学生が私立医学部を併願することは、少なかったという。(※写真はイメージです/PIXTA)
これまで国公立医学部を志望する学生が私立医学部を併願することは、少なかったという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

地域枠入試は出願じたいが地方高校出身者に制限されている場合が多く、地方高校出身者に圧倒的に有利です。一部、全国から募集する医学部もありますが、よほどの志望理由がない限り、都市圏からは受験しても合格が難しい可能性があります。

 

地域枠入試を受けるには、高校での成績が上位にあることが必要です。大学によって基準は異なりますが、基準に合致すれば、高校から医学部に推薦してもらえます。

 

非医師家庭から国立大学医学部に進学したIさんの場合は、英語と数学以外が赤点でしたから地域枠入試を受けることは無理でしたが、Iさんの高校では毎年5、6人は地域枠で医学部に進学しているそうです。

 

地域枠を利用して医学部を目指す人は、高校入学後、早いうちからふだんの生活を見直し、医学部側の条件を満たすような成績を維持していかなければなりません。堅実に医学部を目指すには非常に有効な方法だと思います。

 

国公立医学部か、私立医学部か?

 

一般的に、国公立大を受験する学生は、すべりどめとして私立大を何校か併願します。そして国公立大を不合格になった場合は、いくらか高い学費を払って私立大に入学します。しかし、医学部だけはそうではありません。

 

医学部の学費が高かった最近まで、国公立医学部を志望する学生が私立医学部を併願することは、まずありませんでした。なぜなら、国公立医学部に不合格になったとしても、私立医学部の学費が高すぎて、とても入れないからです。高すぎる学費が障壁となり、国公立医学部を受ける人と私立医学部を受ける人は明確に二分されていたのです。

 

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わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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