調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
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エンダウメントの強みは「資金返済の義務がない」こと
イェールやハーバードなどのスーパー・エンダウメントが資産運用の世界でなぜこれほどまでにすごい成果をあげているのか。じつは、エンダウメントには、規模や知名度で勝る金融機関や年金基金にはない強みがあるのです。
最大の強みは、エンダウメントが、返済する義務のない純粋な自己資金だという点です。銀行預金や保険、年金などはすべて債務として預かった資金であり、いずれ何らかの形で返済しなければなりません。
一方、エンダウメントはもともと寄付金などからつくられており債権者が存在しません。債務ではないわけですから返済義務がなく、いわば半永久的に運用を続けることを前提とすることができるのです。
家計から預金や保険、年金の積み立てを受けた金融機関や機関投資家は、債務の契約期間に応じた運用をする必要がある(ALM=Asset Liability Managementと呼ばれます)うえに、預金者や保険契約者、年金積立者に対するさまざまな責任を履行することが求められます。金融機関の場合には、日本の金融庁のような規制監督機関もあります。
そこで投資判断を行う運用者は、ステークホルダーから任命された役員か雇用された社員であり、さまざまな制約条件の下で機動的で合理的なリスク投資を果断に実行し続けるのは容易ではないのです。
暴落時に売らなくて済むので、「長期投資」が可能
投資家としてもっとも避けたい事態の典型例は、たとえば2008年の金融危機のような状況で一時的な時価評価損失(ドローダウン)が発生した際、それ以上のリスクに耐えきれずに損切りしてしまうことです。
あくまで結果論ではありますが、翌2009年にはそれまで極端に売り込まれていた多くの資産価格がV字型の回復を果たしました。それまでの投資方針を堅持して耐えた投資家は、十分に回復し、おつりがきました。
さらに、資産配分を維持するという投資方針を守って逆張りの買い増し(「リバランス」とよびます)を行った投資家は、大きな収益機会をつかむことができたのです。その代表格が、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイであり、イェール、ハーバードなどのエンダウメントといえるでしょう。
大きな組織の中でチームとして運用している場合、こうしたことを十分理解していたとしても、予め定めた「健全な」リスク管理ルールに従って、機械的にリスク削減を行うのが最新のリスク管理手法です。
市場参加者がみな「市場は行き過ぎだ」「安いものが売られすぎだ」とわかっていても、安いものを底値でみな一斉に売らざるを得ないという状況が生じることがあるのです。
各市場参加者は、各自がリスク管理ルールに従って淡々と行動しているだけなので、それ自体は合理的ですが、市場全体でみると買い手が消えた底値でほぼ全員が叩き売ろうとすることになり、経済学が教える合理的な市場とはかけ離れた状況が一時的に生じます。
ミクロの合理的行動の集積が、マクロではとんでもない非合理な状況を作り出すという合成の誤謬です。こうした損切りとは逆に、うまく利益が乗ってきたときに早すぎる利食いをしてしまうことも長期投資にとっては大きな敵です。
毎年、目標のリターンを求められるような機関投資家の場合、利益を確保しておこうという行動に出るのは仕方がない面もありますが、エンダウメントは償還期限・運用期限のない運用なので、毎年一喜一憂することをしないのです。これがエンダウメントの最大の強みといえるでしょう。
山内 英貴
株式会社GCIアセット・マネジメント 代表取締役CEO
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