相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、相続人に指定していた人が亡くなった場合のために「遺言書」をどう作成すべきなのか、見ていきましょう。

面倒を見てくれた次男が急逝。遺言書は作成済だが…

Q.私には息子が二人います。

 

次男は私の面倒を見てくれる親孝行な息子なのですが、一方、長男は放蕩息子で家のことを顧みない人間で、今はどこで何をしているかもわかりません。ですので、私の財産は、私が死んだら、すべて次男に与えたいと思っています。

 

そこで、「私の財産は、すべて次男に相続させる。」という遺言を書きました。なお、このような遺言だと長男の遺留分が問題になると聞きましたが、そんなことは関係なく、とにかく次男にすべて渡したいという一心で作成しました。

 

しかし、私が遺言を書いてから程なくして、次男が不慮の事故で亡くなってしまいました。このような場合、私の遺言の効力はどうなるのでしょうか。

 

私としては、何としても長男には相続させたくないので、次男に遺すはずだった遺産を、次男の子にそのまますべて代襲相続をさせたいと思っています。遺言はそのままでも大丈夫でしょうか。それとも、無効になってしまうのでしょうか。

 

このまま何もしなくても、遺言の効力は次男の子どもに引き継がれ、次男の子どもが私のすべての財産を代襲相続できることになるのでしょうか。

 

次男の息子に代襲相続させたいが…(画像はイメージです/PIXTA)
次男の息子に代襲相続させたいが…(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.そのままでは効力はなく、次男の子には代襲相続されません。

次男の子に相続させたい場合、遺言書に明記すべきこと

この問題については、以前は下級審裁判例では見解が分かれていましたが、平成23年2月22日に最高裁判所の判例がでましたので、実務上の扱いがこれで確立されました。

 

最高裁判所の判例によれば、基本的には、遺言書のなかに

 

「受遺者が先に死亡した場合にはその子どもらに代襲相続させる」

 

という内容が書かれていなければ、代襲相続はされずに遺言は無効となるおそれがある、ということになります。

 

したがって、本件のケースでは、親は、上記のような文言を遺言に書いていなければ、元の遺言のままでは次男の子どもに相続させることはできなくなる可能性がありますので、新たに遺言を書く必要があります。

 

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