「子どもと一緒にお風呂に入れる時間に帰れる」
診療体制が改善され、医局員たちの働き方が想像していた以上に大きく変化していったのは明らかでしたし、実際に医局員たちもそれが実感できるようになっていました。
第5回でご紹介したSU薬を極力用いない治療方法を選択していったことで、狙いどおり低血糖による救急搬送患者や兼科患者数が減少し、時間外労働が削減されただけではありません。これにより、休日出勤も減り、仮に休日出勤したとしても、業務時間は大幅に減っていきました。
その結果、医局員たちは勤務中の空き時間をみつけて臨床研究や専門医試験の準備に充てることができるようになっていったのです。私が赴任して2年半が経ったころには、すでに17時には糖尿病内科の医局員は、帰宅できるようになっていました。
若いパパさん医局員は、「子どもと一緒にお風呂に入れる時間帯に帰れるようになってようになって本当によかった」とも言っていました。別の若い医局員からは、「週末を使って両親を伊豆観光に招き、以前、皆で訪れた沼津のお店で食事をしてきました」という伊豆ライフを満喫している話を聞くこともできました。
それぞれのワークライフバランスの調整が図られ、医局員たちが仕事だけでない、時間の使い方を選択できるようになっていったのです。これは、私自身ができるといいなと考えていたことですから、こういった話を医局員たちから耳にする度に、「医師の働き方改革」ができて本当によかったなと実感することができました。
私が赴任した当初は、「送別会があるので、今日は21時から飲みに行こう」と声をかけても、仕事が終わらずなかなか時間通りにスタートできないことも度々ありました。そんな当時のことを振り返ると、ここまできたんだな、ここまで変われることができたんだな、とつい感慨深くなります。
●研修医の力の力も借りて、個々の労働時間短縮を
●研修医が研修先として選んでもらえるようなローテーションプログラムを検討する
●”超“多忙を極める研修医を応援する精神的サポートを提供してみる
佐藤文彦
Basical Health産業医事務所 代表