本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率+21.4%と、1980年以降最大のプラス成長
 

緊急事態宣言による経済活動停滞の反動から、個人消費、輸出が大きく伸びる
 

7~9月期実質GDP第2次速報値から、平成27年(2015年)基準に変更

 

 

●20年7~9月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+5.0%、前期比年率+21.4%。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前期比年率▲28.8%と大幅なマイナスになった4~6月期の反動から、2ケタ増の大幅な伸び率になった。現行統計(平成23年・2011年・基準)で遡れる80年4~6月期以降で実質GDPが前期比年率2ケタの増加になったのは、これまで87年10~12月期+11.2%、89年10~12月期+12.0%、90年4~6月期+11.0%、11年7~9月期+10.3%だけで、今回、過去最高を更新した。また、20年7~9月期名目GDP成長率・第1次速報値は前期比+5.2%、前期比年率+22.7%となった。季節調整値は531.1兆円で4~6月期の504.6兆円からは戻したものの、直近のピークだった19年7~9月期の557.8兆円から26.7兆円低い水準になった。

 

●実質個人消費は、前期比+4.7%の4四半期ぶりの増加になった。実質家計最終消費支出の前期比は+4.7%の増加、実質国内家計最終消費支出の前期比は+4.8%の増加である。その内訳をみると、耐久財の前期比は+4.0%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前期比は+1.5%で、こちらは4四半期ぶりの増加となった。非耐久財の前期比は+2.1%と2四半期ぶりの増加になった。外出自粛によるレジャー関連や飲食などの落ち込みなどで前期比▲12.1%と大幅マイナスだった4~6月期の反動で、サービスの前期比は+6.6%と4四半期ぶりの増加となった。実質雇用者報酬は前期比+0.5%と2四半期ぶりの増加になった。

 

●実質住宅投資は前期比▲7.9%と4四半期連続の減少になった。

 

●設備投資は前期比▲3.4%と2四半期連続の減少になった。新型コロナウイルスで先行きが不透明な中、企業が慎重になっている様子がわかる数字だ。名目の前期比(季節調整済み)は▲2.0%と2四半期連続の減少である。法人企業統計との比較で参考になる、名目の前年同期比は▲11.0%と4四半期連続の減少になった。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、7~9月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+3.9%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+11.9%であると公表された。法人企業統計が出た時に前年同期比が▲11.5%程度より高いかどうか比較することで、7~9月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。

 

●民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.2%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度+0.1%、流通品在庫は前期比寄与度+0.1%となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は▲0.6%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同+0.3%だった。

 

●実質政府最終消費支出は前期比+2.2%の増加だった。また、実質公共投資は前期比+0.4%の増加になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%であった。公的需要の前期比寄与度は+0.5%だった。

 

●7~9月期外需(純輸出)の前期比寄与度は+2.9%と3四半期ぶりの大幅プラス寄与になった。新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ世界経済が持ち直したため、実質輸出は前期比+7.0%と3四半期ぶりの増加になった。財は前期比+11.0%と7四半期ぶりの増加になったが、サービスは前期比▲8.1%と3四半期連続の減少だった。訪日外客数がほとんどないのでインバウンド需要は盛り返していない。実質輸入の前期比は▲9.8%と2四半期ぶりの減少になった。財に関しては前期比▲9.2%と2四半期ぶりの減少となった。サービスは前期比▲12.1%と2四半期ぶりの減少になった。

 

●7~9月期のGDPデフレーターの前年同期比は+1.1%のプラスの伸び率になった。控除項目の輸入デフレーターが原油価格下落などで前年同期比▲7.9%のマイナスの伸び率になったことはGDPデフレーターの上昇に寄与している。国内需要デフレーターの前年同期比は+0.1%の伸び率だった。一方、7~9月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは+0.3%、国内需要デフレーターは+0.6%になった。

 

●20年度実質GDP成長率・内閣府年央試算・前年度比▲4.5%を達成するには、20年度残り3四半期全てで前期比年率+8.3%(前期比+2.01%)が必要である。見通し達成は厳しい状況と言えるだろう。19年度から20年度へのゲタは▲1.3%である。20年度残り2四半期が前期比0.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲6.0%のマイナス成長になる。20年度残り2四半期が前期比+1.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲5.3%のマイナス成長になる。

 

 

 

●先行き、10~12月期の成長率が注目される。ESPフォーキャスト調査11月調査の10~12月期実質GDP成長率見通しは34人の平均で前期比年率+4.75%、高位8人の平均は+8.11%、低位8人の平均は+0.83%と4~6月期の大幅マイナス成長、7~9月期の大幅プラス成長の後は、エコノミストにより幅はあるものの、1ケタのプラス成長になることが予測されている。

 

●12月8日に発表される7~9月期第2次速報値から、平成27年(2015年)基準に変更になる。その時に、リフォーム・リニューアルが住宅投資と設備投資として新たに加わるなどいくつかの変更が加えられる。

 

●また7~9月期第2次速報値では、12月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資が改定される。

 

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなプラス寄与は流通品在庫、次のプラス寄与は仕掛品在庫、残りはマイナス寄与で、マイナス寄与が小さい順に、製品在庫、原材料在庫が続くということだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年7~9月期実質GDP(第1次速報値)について』を参照)。

 

(2020年11月16日)

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト

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