ひとり暮らしをしている高齢者は、「子どもや孫と一緒に暮らすこと」を望んでいる人ばかりとは限りません。しかし、望んでひとり暮らしをしている高齢者も、ケガや病気などで、いつか介護が必要になったらどうしよう、と不安を抱いている人は少なくないのです。今回は、シニア生活文化研究所・代表理事の小谷みどり氏の著書『ひとり終活』より一部を抜粋し、ひとり暮らしの高齢者が健康寿命を延ばすためにやるべきことを紹介します。

大切なのは、かかりつけ医を見つけること

健康寿命を延ばす努力をしたとしても、病気にかかることもあります。そんなときのた
めにも、「かかりつけ医」を持っておくことが、ひとり暮らし高齢者にとってはとても大切になります。

 

かかりつけ医とは、日常の健康管理はもちろん、ちょっと調子が悪いなといったときに
も気軽に相談できる医師のことです。風邪をひいたときにはあそこの診療所、耳が痛いと
きにはここのクリニックなどと、自覚症状に応じて診てもらう医療機関や診療科を独断で
決めるのではなく、信頼できる特定の診療所や医師にまずはかかるようにします。

 

かかりつけ医は、普段の健康状態を把握していますから、どの診療科を受診していいかわからない場合にも適切なアドバイスをしてくれます。

 

かかりつけ医は、自宅の近所で見つけることが一番です。急に気分が悪くなったり、病
気になったりしたときにはなおさら、すぐに行けるという利便性が安心感につながります。また、話しやすい雰囲気があり、説明がわかりやすいのも、良いかかりつけ医の条件です。

 

かかりつけ医は専門病院と連携しているので、重篤な病気や手術が必要なときには、すぐに紹介状を書いてくれます。大病院のなかには、医師の紹介状なしでは診察の予約を受け付けないところがありますし、診察してもらえたとしても、通常の医療費の他に特別料金が徴収され、診察料が割高になります。特別料金は初診時が5000円以上、再診時が2500円以上で、具体的な金額は病院によって異なります(大学病院や公立病院、赤十字病院など約240カ所の大病院で、紹介状がないと特別料金を負担することになります)。

 

かかりつけ医は患者の病状だけでなく、これまでの病歴や健康状態をすべて把握してい
ますから、もしものときに素早く対応してもらえるのが最大の利点です。「あの医者とは
気が合わない」「処方してもらった薬は効き目がない」など、ひとつの病気で医療機関を
転々と替える人がいますが、こうしたはしご受診は、そのたびに初診料がかかるうえ、同
じ検査の繰り返しで時間も無駄になり、患者にとって何の利点もありません。

 

医師に自分の症状を理解してもらうには、病状をあらかじめ紙に書いておく、不安に思っていることを的確に伝えるなど、私たちも努力しなければなりません。医師といかに信頼関係を築けるかが大切なのです。

 

 

小谷みどり 

シニア生活文化研究所代表理事

ひとり終活

ひとり終活

小谷 みどり

小学館

元気なうちは気兼ねの要らない自由な暮らしがいいと思っていても、ひとり暮らしの人は、将来に不安を感じることも多い。 介護が必要になったら誰が面倒を見てくれるのだろう? 万が一のとき誰にも気づいてもらえなかったら…

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