何度もブームを繰り返し、今や生活に定着した感のあるワイン。一方、欧米に目を向けると、ワインは株式や債券と同じように投資対象として人気を高めているという。本連載では、ワイン研究の第一線で活躍する堀賢一氏が、ワインマーケットの現状と今後の見通しについて解説する。今回は、ワインのブランドはどのように守られているのか、みていこう。

テントウムシが混入…青臭く不快なワインに

■2004年のテントウ虫汚染

ブルゴーニュの2004年は、かなり特殊なヴィンテージでした。雨の多かったこの年、ブドウ畑では防カビ対策が必須で、また、本来は益虫であるはずのテントウ虫が大量発生しました。殺虫剤を散布した生産者に大きな問題はみられなかったのですが、殺虫剤を使用しない、有機栽培を実践する栽培者のブドウは、発酵タンクに入れる際にテントウムシが混入しないよう、細心の注意が必要でした。

 

赤ワインの醸造に際して、果粒を果梗から外してタンクに入れる生産者では重大な問題とはならなかったのですが、ドメーヌ・ルロワのように赤ワインを除梗せずに全房で発酵させるワイナリーでは、テントウ虫が果房の内部にまで潜り込んでいたため、発酵タンクの中に相当数が混入してしまい、結果として青臭い、不快な味わいのワインが散見されました。こうした赤ワインには出荷後も濁りがみられたのですが、混入したテントウ虫の体液が原因とされました。

 

こうした状況を踏まえ、品質に強いこだわりを持つドメーヌ・ルロワでは、すべてのグラン・クリュ(特級畑)およびプルミエ・クリュ(一級畑)のワインを格下げしました。たとえば、ACブルゴーニュのラベルが貼られて出荷された赤ワインは、クロ・ド・ラ・ロッシュやクロ・ド・ヴージョ、コルトン・ルナルドといったグラン・クリュと、ポマール・レ・ヴィーニョやサヴィニー・レ・ボーヌ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリューといった銘醸畑のブドウからつくられました。

 

今回のオークションには、2004年のドメーヌ・ルロワのブルゴーニュ赤だけでなく、同ジュヴレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニー、マダム・ルロワが個人所有するドメーヌ・ドーヴネの同ジュヴレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニーも出品されています。ドメーヌ・ルロワのジュヴレ・シャンベルタン2004年は特級畑のシャンベルタンやラトリシエール・シャンベルタンのブドウ他から、シャンボール・ミュジニーには特級畑ミュジニーのブドウ他が用いられています。

 

また、ドメーヌ・ドーヴネのジュヴレ・シャンベルタン2004年は特級畑マジ・シャンベルタンの格下げで、シャンボール・ミュジニーは特級畑ボンヌ・マールの格下げです。ドメーヌ・ルロワのミュジニー・グラン・クリュは、普通の年であれば1本300万円を下ることはありませんし、ドメーヌ・ドーヴネのマジ・シャンベルタンは50万円程度はします。ハンマープライスがとても気になりますね。

 

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