本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

「現金の保有」こそが最も損をしてしまう理由

問題点1:現金は額面通りの評価額にしかならない

 

現金は納税資金や代償分割などに利用しやすく、遺産分割を円滑にさせる役割を担います。ただし、一方で相続税評価額のことだけを考えると、最も不利な財産です。現金は額面通りの評価額で、それ以上にもそれ以下の評価にもならず、節税のしようがないからです。

 

土地は路線価、建物は固定資産税評価によって、市場価格より評価が下がりますが、他にもわかりやすいところで言うと、生命保険やゴルフ会員権は時価よりも低い評価額になるので節税対策に利用されやすい財産です。

 

生命保険の場合には、受け取る保険金に対して「法定相続人数×500万円」の非課税枠が設けられています。仕組みとしては、被相続人が500万円の一時払い終身保険に契約しておいて、相続が発生して1人の相続人が500万円の保険金を受け取った場合には、非課税枠内で収まるので相続税は課せられなくなるということです。生命保険を契約した時点で相続財産から500万円の現金が減っているので、その分が節税となっています。

 

また、ゴルフ会員権の場合、相続税評価額は取引相場の7割ということになっているので、1000万円で購入したゴルフ会員権を相続人が引き継ぐと、700万円の評価となって300万円が節税になるということです(課税時期の取引価格の70%)。

 

さらに自動車や家財などの一般動産については、相続発生時に調達するときの価格が評価額となります。希少価値のある一部のものは別ですが、基本的には購入時より価格が下がっていくものですので、必要なものであれば購入しておくと評価減となり節税になります。

 

ちなみに、アンティーク(骨董品)・書画については、専門家による鑑定価格などになります。他にも、必ずしも評価減にはつながるものではないですが、評価方法をご紹介していきます。

 

まず株式ですが、上場株式と非上場株式で評価の方法が異なります。上場株式は、以下のなかから金額の最も低いものを選びます。

 

1.相続発生月の毎日の最終価格の平均額

2.相続発生月の前月の最終価格の平均額

3.相続発生月の前々月の最終価格の平均額

4.課税時期の最終価格

 

非上場株式については、「気配相場等のある株式」と、「取引相場のない株式」とで評価方法が区分されています。「気配相場等のある株式」では、「登録銘柄や店頭管理銘柄」か「公開途上にある株式」であるかによって評価方法が変わります。「取引相場のない株式」については、会社の規模や株主の属性によって「原則的評価方式」か「配当還元方式」で評価するかが決まります。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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