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相続人が立ち会う場合、「録音許可」は不要
ただし正面切って「録音させてください」といっても、調査官は首を縦には振りません。「録音はやめてください」と断ってきます。
これは、録音した内容が万一どこかで関係者以外の第三者に聞かれて、調査内容が漏れ伝わってしまった場合の責任を意識しての言動といえます。それを恐れて録音を許可しようとしないのです。
だからといって法律的には、税務調査の録音は禁じられてはいません。自分が立ち会っていない場所にレコーダーなどをしかけて録音すれば、それは「盗聴」であり、違法行為ですが、自分自身がその場所にいる場合の録音は「記録」であって「盗聴」ではありません。
残念なことに調査官のなかには、強引だったり無礼な態度を取ったり、違法な調査を行う人もいます。このような場合には、担当調査官の直属の上司や税務署の総務課にクレームとして報告します。その際、録音データが非常に有効なのです。
調度品や装飾品…財産に結び付くものは事前に整理
また調査官は、何か財産に結び付くものはないかと室内を注意深く観察しています。一歩玄関に足を踏み入れたときからそれは始まっていて、居間や応接間など、相続人の話を聞く部屋のなかに飾られているものにも目を光らせています。
そしてほとんどの場合、午前の部のヒアリングが終わったあたりか、午後一番くらいで「家のなかをひと通り見せてください」と切り出してきます。
必ず行われるわけではありませんが、税務調査ではひと通り家のなかを見るものと考えて、整理しておいたほうがいいでしょう。
目を付けられやすいのは、カレンダーやタオルなど、金融機関からもらいそうなものです。調査官が「トイレを貸してください」といったら、ほぼ間違いなくタオルをチェックされると考えたほうがいいでしょう。
最近は少なくなりましたが、昔は金融機関の名前入りのポケットティッシュやマスコット人形、貯金箱などもよくありました。
これらの品があれば、調査官は「この金融機関と取引があったんだな」と考えて、申告書と突き合わせ、きちんと申告されているかを確認します。
室内の装飾では、絵画や書画骨董などにも目を留めます。もし、高額なものがあれば鑑定に回すということもあるかもしれません。それも自分たちで数字を出そうとはせず、筆者たち税理士に「評価してください」と振ってきたりします。
デパートで買った何万円かする絵や美術品などについては、家庭用動産一式でひっくるめて申告すればすむことですが、美術年鑑などに掲載されている絵画等ですと、注意が必要です。
最近は携帯電話のデータに入れてしまうことが多いのであまり見なくなりましたが、以前は家庭用の電話帳を作っているケースがよくありました。
「見せてください」といってページをめくり、申告書には出ていない金融機関を探そうと躍起になる、というシーンもよく見られたものです。
服部 誠
税理士法人レガート 代表社員/税理士
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