本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

「大手は大手になっただけの理由がある」という奇妙

【業者の言葉】はじめて不動産の相談に訪れたのが縁で、大手仲介会社とのつき合いが続いている。その懇意な営業マンはしきりに「仲介大手は大手になっただけの理由がある」「情報力は負けない」と自慢してくるが…本当なのか!? なんとなく無難な物件ばかりを紹介しているような感覚があるのだが…。

 

なんか胡散臭くない?
なんか胡散臭くない?

 

営業マンが言う「仲介大手は大手になっただけの理由がある」という表現は言い得て妙だ。

 

創業の経緯は会社によって異なるが、そもそも会社は顧客から手数料を得てスタッフを雇う。そして、新たな顧客との接点を増やし、取引をして、さらに手数料を得る。それをくり返して会社は大きくなっていく。だから大手はさらに会社の規模を大きくさせ、逆に利益が得られない弱者は退場せざるを得ない。それは業種にかかわらず、世の常だ。

 

ただ、よく考えてほしい。会社の規模を大きくする原資は顧客からのお金だ。つまり、大手仲介業者は「客からガッポリ手数料を取って」ここまできたとも言える。そんなイメージもできず、自社が大手だと自慢するのは身の程知らずだ。そんな営業マンが働くような仲介業者は、程度も知れているだろう(お客をただの財布と思っている)。そこを信用できるお客となれば、何も考えていないのか、よほどのお人好しかだ。

 

さて、日本人は中小よりも大手を信用するクセがある。不動産投資も同じで、とくに初心者は大手の相談会なら疑うことなくセミナーに参加し、自ら個人情報を渡していく。会社が安心できるからか、規模が大きいからなのか。そして、大手は中小よりも情報を持っているという幻想を抱く。

 

確かに全国各地に支店や営業所を持つ大手仲介業者は、カバーしているエリアも広いから、必然的に情報量も多くなる。だが、問題なのは量より質。結局お客が購入できる物件は1つか2つだから、量を求めることはない。どんなことでも量より質が大切だ。

 

しかしながら、情報を発信する側はより多くの見込み客(カモ)を集めたいから、色んな角度から優位性のあるように見える物件を大勢へ一斉に配信する。少しでも反応が良くなるよう、メリットとなる華麗な謳い文句を大きく書き、クレームにならないような物件を紹介する。これが「無難な物件」という感覚の正体だ。そんな物件を買っても、トントン(赤字ではないが、利益もない)かちょっと儲かるくらいだろう。

 

基本、大手仲介業者は「1つの物件で2度美味しい」を考えることを命題にしている※(絶対に口には出さないが)。

 

※ 1つの物件で2度美味しい・・・エンド(最終的な消費者)所有の不動産を懇意な買取り不動産業者へ紹介し買ってもらい、折返し(再販売)の依頼を受けること。簡単に言えば、エンド3%+買取り業者3%+再販3%の手数料が稼げる話である。まして出口のエンドまで見つけたら、さらに3%プラスだ。基本は単発勝負のエンドさんイコール「お得意さん」ではないから、リピートが見込めない限り粗末な扱いになる。大手仲介業者もボランティアでなく事業なので当たり前の話だ。

大手仲介業者の数少ない「いいヤツ」を見つけるには…

そこまで言うと、もはや大手仲介業者に相談しようとは思わないだろう。ただし、大手仲介業者でもいいヤツはいるのは事実だ。こればかりは運としか言いようがない。では、どこへ相談すればいいか。そのヒントを書いておく。

 

一つは直近3年程度の実績をヒアリングすることだ。どんな物件を誰にいくらで仲介したか、話の詳細を丁寧にわかりやすく話せて、話が真実である証拠として売買契約書の写しなどを見せる仲介業者なら実績の原本開示くらい楽勝でしょう(笑)。

 

もう一つは商談・契約を急がしたりしない業者だ。

 

さらにもう一つは調査能力(条例、建物の劣化度合い、修繕履歴等)の高い業者。ここを怠ると、後々になって痛い目にあう。

 

最後に嘘や言い訳を絶対にしない業者。これは人として当たり前だが、意外とできないんだよなぁ。まぁ疑問に思ったら、スルーするのではなく、トコトン質問することだ。それを明瞭に答えてくれないヤツは信用できない。

 

業者が大勢に流す情報、ネット検索で見つけられるような情報は、すでに業者が儲からないと判断して公表されていると思った方がいい。なぜなら、業者も儲けたいからだ。

 

業者は自分たちが儲かるなら、お客に情報を渡さないはずだ。物件を売りつけるということは、業者が買うに値しない物件だとわかってのことだ。だから業者と地道につながりを持っておくと、こっそり教えてくれる可能性もある。もちろん、何千件のうち1、2という低い割合だが。それを面倒がらず、やりきっていく姿勢に、業者は応援の意思を示してくるといえる。

 

 

株式会社BRAVE 代表取締役

山部 和孝

 

不動産業者のハナシは信用するな

不動産業者のハナシは信用するな

山部 和孝

クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

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