「人生100年時代」という考え方が一般化してきた昨今。老後2000万円問題も追い風となり、資産形成の方法に不安を抱く人も多い。収入アップのための「起業」や「副業」が注目されてはいるものの、リスクを恐れ、なかなか一歩を踏み出せないのが現状だ。しかし、株式会社GEAR代表取締役・有薗隼人氏は、書籍『働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業』(クロスメディア・パブリッシング)にて、0円からでも起業できること、そして副業を持つ重要性を説いている。本記事のキーワードは「男女格差」。

男女格差を痛感している人こそネットビジネスをすべき

◆男女の格差をビジネスで飛び越える

 

本記事では、「男女格差」について解説していきます。

 

国税庁による「民間給与実態統計調査」(平成29年)を見ると、男性の平均年収は532万円、女性の平均年収は287万円と、大変な差があります。男女格差を測る、世界経済フォーラムによる「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(2018年)では、日本の順位は149か国中110位で、G7の中では最下位です。

 

男性の私は、女性に対して羨ましいと思うことも度々ありますが、このような数字を見ると、格差がないとはとても言えません。

 

また、筋力や体力や体格が勝ることが多い男性の中に、女性に対して乱暴な態度をとる人間が少なからず存在するのも否定できません。会社で働きながら、上司や同僚のセクハラやパワハラに悩まされている女性も多いでしょう。また、収入差のようなデータには出ないものでも、女性が優位な環境の中で、苦しい思いをしている男性もいると思います。

 

私は、人生のリスクヘッジとして「0円起業」をおすすめしているだけに、たとえば今職場で男女格差に苦しむ方に、「そんな会社辞めてしまったほうがいい」とは言えません。ただ、そんな方にこそ、副業や起業をしてほしいとは思います。

 

自分で始めるビジネスなら、顧客層や付き合う相手を、自分で考え、決めることができます。男性に苦しめられている女性なら、女性相手のビジネスを、女性に苦しめられている男性なら、男性相手のビジネスをできるわけです。

 

特におすすめしたいのがネットビジネスです。

 

たとえば、メイク動画の配信をやろうとする女性なら、対象は完全に女性になります。ユーチューブやTikTokに動画をアップしたら、当然ながら男性も見られるので、完全にコントロールすることはできなくても、自由度は会社やアルバイト先での仕事とは比べものになりません。嫌なコメントをしてくる男性がいたところで、会社の上司なら相手をする必要もありますが、無視してしまえばいいわけです。

 

これが地元で店をオープンする、といった類の事業だと、日常生活のストレス源となっている存在に遭遇してしまう可能性がどうしてもあります。地縁に引きずられず、ビジネスネームでネットビジネスを始め、それが成功すれば、嫌な勤め先を辞めることだってできます。

 

これだけですと、現状を変える選択肢としての話のみになってしまいますが、もちろんビジネスの中身についても、男女格差からヒントを見出すことはできます。男女格差も、基本的には地方格差のように、マイナスをプラスに転じる感覚で、今問題のあるところにこそチャンスを見つけやすいように感じます(関連記事『地域格差が武器に?田舎のビジネス、「発展しない」という凄み』参照)。

 

今現在、女性の感性が不足しているところに女性の視点を、男性の感性が不足しているところに男性の視点を導入できる場所を見つけられれば、勝機があるのではないでしょうか。

 

たとえば、家屋や店舗のデザイン・設計・施工を行う福岡県の建設会社「ゼムケンサービス」は、2012年から「女性建築デザインチーム」というブランディングを打ち出し、売上高を1億円から4億円に伸ばしているそうです。同社のフィロソフィーを引用させていただきます。

 

《Change the construction industry brightly with female power!》

――女性力で、建設業界をぱーっと明るく変えたいんです!

 

《人は場に影響せずにはいられない。人間は環境の生き物です。男性圧倒的多数の建設業。人を人たらしめる環境づくりをする仕事だからこそ、多様な価値観を、生活者視点で活かしたい。私たちは挑戦し続けます。》(https://www.zmken.co.jp/より)

 

当たり前の話ですが、家に住む人の内訳は男女でほぼ半々のはずです。つまり、ユーザーの数は変わらないのに、サービスを提供する建設業界は男性のほうが多い。このズレにチャンスがあったわけです。ゼムケンサービスさんは社員8名のうち、6名が女性で、そのうち4名が一級建築士だそうです。

 

女性が活躍しやすい環境をつくるのは簡単ではなかったと思いますが、勝つべくした勝った成功事例だと感じます。

 

また知り合いの知り合いの話で、かつ起業前のため、具体的な会社名などもまだない状態なのですが、女性のみの営業会社をつくろうとしている方もいます。営業は体力や精神力が求められるので、これも男性偏重の職種かなと思うのですが、女性ならではのきめ細やかな感性が求められる局面は必ずあるでしょうし、女性ばかりの店舗や会社などに営業する場合、相手も営業マンが女性だと安心できるはずです。これもいいチャレンジだと思います。

 

マイナスをプラスに変える
マイナスをプラスに変える

「スキマ」を埋めるサービスを提供する

基本的には、建設業界と同じように、男女どちらかに偏重しているけど、全ての人にニーズがあるサービスのスキマに、ビジネスチャンスがあると思います。たとえば近年、サウナがブームですが、サウナは男性専用の施設が非常に多いです。そのスキマを埋めるように、女性専用サウナのニーズが高まっている気がします。

 

ジャストアイデアですが、男性を意識したデザインのアイテムが多く、実際に男性ユーザーが多い業界のアイテムのデコレーションなんて、隠れたニーズがあるのではないでしょうか。

 

デコアーティストがデコるのは、スマホケースやメイク道具が主だと思いますが、たとえば建設業界つながりで言うと、DIYとカワイイがどちらも好きな女性もいるはずです。ざっと検索したところ、ピンク色の工具セットは見かけたのですが、デコ電動ドライバーがあったらほしい人もいる気がします(電動ドライバーの振動にデコられたストーンが耐えられるのかはわかりません……)。

 

「女性専用」キーワード検索

 

同じように、女性偏重の、しかし男性にもニーズがある業界だってたくさんあるでしょう。男性専用ネイルサロンが最近増えている印象があるのですが、似たイメージで探っていくと、男性にも格差から見出だせるビジネスチャンスはたくさんあると思います。

 

そして、男女格差についても、格差に苦しむ人がビジネスで成功できれば、その状況を変えることができます。一人だけの話でも素晴らしいことですが、ゼムケンサービスさんのように女性の雇用を増やせば、社会をより良くすることにつながるわけです。

 

 

株式会社GEAR 代表取締役

有薗 隼人

 

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

働きながら小さく始めて大きく稼ぐ 0円起業

有薗 隼人

クロスメディア・パブリッシング

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