※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年1月9日に公開されたものです。

 

2020年に入り初回のコラムです。本年も個人投資家の方に役立つ実践的な知識・情報の提供に努めてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

今年はどんな1年になるでしょうか。年頭に当たり、最近じわじわとブームになっている長期分散投資のメリットと注意点を改めて考えてみたいと思います。

つみたてNISAやiDeCoで一気に広まった長期分散投資

一昔前は、株式投資で長期分散投資をするという方は少数派でしたが、最近では、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の広がりとともに増えています。

 

つみたてNISAやiDeCoは、その仕組み上、長期分散投資を前提とした制度です。

 

ただ、ファイナンシャルプランナーや税理士の多くは、節税メリットだけを強調したり、長期分散投資をすれば必ず資産を増やすことができる、と誤認させるような説明をしており、筆者としては強い懸念を抱いています。

 

筆者は長期分散投資が最も優れた方法とは思っていません。個別株に投資した方が大きな利益を得られる可能性がありますし、マーケットが大きく値下がりするような時は、わざわざリスクを抱えて株を持ち続けざるを得ない長期分散投資ではなく、値下がりの初期段階で売り、反発の初期段階で買い戻した方がはるかに安全と考えているからです。

 

とはいえ、長期分散投資を否定しているわけではなく、個別株投資でうまくいかない個人投資家にとっては「次善の策」であることは間違いありません。

 

そこで今回は、長期分散投資と個別株への投資を比較しつつ、どのように長期分散投資をすればよいかを考えていきます。

長期分散投資の大きなメリット

長期分散投資のメリットとして挙げられるのは大きく2つあります。

 

1つ目は、資産運用にかける時間や手間が圧倒的に少ないという点です。インデックス・ファンドなどに投資したら基本はそのまま保有を続けるだけですので、個別株を選んでタイミングを計って投資するよりはるかに楽です。

 

2つ目は、結果として長期分散投資をした方が高いパフォーマンスを上げられる可能性が結構高いという点です。

 

ある調査によれば、一定期間株を持ち続ける方法と、タイミングを見計らって売買する方法を比較したところ、前者のパフォーマンスが極めて高かった、という結果が出ています。

 

つまり、タイミングを見計らって、上がりそうな株を選んで売買するよりも、株を一度買ったら保有し続ける方がうまくいく可能性が高いのです。

個別株投資の方が向いているタイプとは

では、個別株への投資をしている個人投資家は、個別株投資などやめて今すぐにインデックス・ファンドで長期分散投資をすべきなのかといえば、そんなことはありません。

 

「インデックス・ファンドで長期分散投資をした方が、パフォーマンスが良い」という結果は、筆者に言わせれば、それは個別株の売買のタイミング自体が誤っているからそのような結果になったのです。

 

現に筆者は、個別株でインデックス・ファンドよりも高い運用成果を出していますし、いわゆる「億り人」になった個人投資家もみな、インデックス・ファンドとは比べ物にならないほどの運用成績を上げているわけです。

 

もし、個別株への投資を続けていて、インデックス・ファンドより投資成績が悪いという状態がずっと続いているのであれば、そのやり方自体が誤っている可能性が極めて高いです。ご自身のやり方を一から見直してみて、それでも改善ができないのであればインデックス・ファンドへの長期分散投資を検討した方が良いかもしれません。

 

個別株への投資は、うまくいけばインデックス・ファンドよりはるかに高い運用成績をあげることができます。その一方で、失敗するとインデックス・ファンドより成績が劣ってしまいます。

 

もし投資で大きな財産を築き上げたいのであれば、インデックス・ファンドへの投資ではなく個別株投資を実践し、成果が出る正しいやり方を身に付けるようにしてください。

「コア・サテライト戦略」も大いに検討の余地あり

資産運用の世界では、「コア・サテライト戦略」というものがあります。投資資金の多くはインデックス・ファンドなどで長期分散投資をして安定運用を目指し、残りの投資資金で個別株や高金利通貨ファンド、テーマ株ファンドなどリスクの高い運用を行うというものです。

 

筆者は、このコア・サテライト戦略をベースにして、一人一人のリスク許容度や資産運用にかけられる時間や努力、知識などに応じてコア部分とサテライト部分のパーセンテージを調整していけばよいのではないかと思っています。

 

一般的にはコア部分(インデックス・ファンドなど)を70~80%、サテライト部分(個別株)を20~30%程度としているようですが、これにこだわる必要はありません。

 

筆者は、インデックス・ファンドに長期分散投資するよりも大きなリターンを目指しており、長期分散投資に全幅の信頼を置いていません。そして筆者のやり方であれば個別株で長期分散投資以上のリターンを獲得できる自信があります。

 

筆者の場合、コア部分はせいぜい5~10%程度で、ほぼ全てがサテライト(個別株運用)という形です。

 

資産運用の知識がなく、勉強や個別銘柄を選別する時間も取れない方は、100%をコア運用としても良いと思います。多少リスクを取った運用もしたいが、それだけだと怖いという方はコア50%、サテライト50%でも良いのではないでしょうか。

 

2020年、読者の皆様が株式投資、資産運用で成功することを祈念しております。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年1月9日に公開されたものです。

 

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