年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、法定相続人以外の第三者が遺産分割協議に参加することで起こるトラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

何かと張り合う「長男の妻」と「次男の妻」

相続トラブルに発展するケースとして、相続人ではない第三者が登場するパターンがあります。今回ご紹介するのは、そのような家族の話です。

 

登場するのは、父、母、長男、次男の4人家族です。元々、仲のいい家族でしたが、二人の子どもの結婚を境に変化がありました。

 

二人の兄弟は3歳の年の差がありましたが、結婚したのはちょうど同じタイミング。先に次男が、その半年後に長男が結婚しました。次男が結婚式を挙げたのは、都内でも有名な老舗のホテル。家族や友人のほかにも、次男の勤める会社関係の人たちも招待した、豪華な結婚式でした。そこには、まだ籍は入れていませんでしたが、現在の長男の妻も招待されていました。

 

次男の結婚式の半年後に予定されていた長男の結婚式は、身内だけのアットホームな式にしよう決まっていました。しかし盛大な披露宴に触発されたのでしょうか、急遽、次男の結婚式のような式にしたいと、長男の妻は言ってきたのです。

 

「一生に一度のことなんだから、思い出に残る式にしたいじゃない」

 

妻の意向に、長男も「君が望むなら」と路線変更。都内でも人気の高い、外資系のラグジュアリーホテルで結婚式を挙げることになったのです。式本番の半年前の予定変更に、バタバタしましたが、無事、結婚式は成功しました。

 

しかし、この一件以来、何かと長男の妻と次男の妻が張り合うようになったのです。しかも、二人の兄弟の子どもの誕生も、ちょうど同じタイミング。結婚から2年後に、お互い第一子が生まれ、さらにその3年後には第二子が生まれました。

 

そうなると、今度は子育てで妻同士が張り合うように。

 

長男の妻 「〇〇ちゃん(次男の第1子)、中学受験とか、するの?」

 

次男の妻 「▲▲(都内でも有名な私立中学校)とか目指してるの。◎◎(長男の第1子)ちゃんは、中学受験どうするの?」

 

長男の妻 「うちは■■(都内でも有名な私立中学校)とか、いいなあと思って」

 

子どもの習い事、中学校受験など、ことあるごとにお互い、張り合うような会話がされました。表面上は仲良く話すのですが、その裏では……

 

長男の妻 「▲▲だって、無理に決まっているじゃない」

 

次男の妻 「■■なんて、レベルが低いわね~」

 

などと、相手をけなすようなことを口にしていました。このような状況に、夫である長男、次男は何も言うことはできず、次第にお互いの妻ができるだけ顔を合わせなくてもいいようにと、家族同士の交流も少なくなっていったといいます。

 

そんなある日のことです。兄弟の父が病に倒れ、介護が必要になりました。年老いた母が父の介護をするのは大変そうです。ちょうど長男の子どもたちは学校の寮に入っていたので、長男は妻と二人暮らし。そこで、会社に相談し、実家のある街の支社への異動を願い出ました。

 

「お前には、迷惑かけないから」と妻を説得。実家近くにマンションを借り、長男は妻と引越し。長男は頻繁に父の介護を手伝うようになりました。

 

それから5年後、父が亡くなりました。そこで大騒動が起きるのです。ひと通りの法事が終わった後のこと。母と兄弟で遺産分割の話をしているときのことです。

 

「お父さんからの遺言書は特にないから、決められている通りでいいかしら」と母。

 

「そうだね、お母さんに1/2、俺らに1/4ずつ、ということで」と長男と次男。

 

「不動産はどうしましょうか?」と母。

 

実家のほか、マンション一室を保有していました。

 

「実家はそのままお母さんが住むから、マンションをどうするかだね。持っていても仕方がないから、お母さんがいいなら売ってしまえば?」と次男

 

「俺もそれがいいと思うよ」と長男

 

「そうね、じゃあマンションは売って、それも3人で分けましょうか」と母が言ったとき、長男の妻が話に入ってきました。

 

「ちょっと待ってください。その分け方、不公平じゃありませんか?」

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