自分の子とよその子を比べてしまうのは、おかあさんならやってしまいがちなこと。けれども大切なのは、ありのままのわが子を受け入れ、どんな人間になってほしいかを考えることなのです。本記事は、『自分で考えて動ける子になるモンテッソーリの育て方』(実務教育出版社)から一部を抜粋し、「こどもは適切な時期に適切な環境が与えられれば、自分の力で成長できる」とする、モンテッソーリ教育に基づいた子育てのヒントを紹介します。

焦らない、ほかの子と比べない

きょうだいがいるご家庭はもちろん、幼稚園や保育園など、集団の中で生活するようになれば、つい、ほかの子と比べてしまいます。

 

「うちの子はAちゃんよりことばが遅いかも」

「なぜ、Bくんのようにみんなと遊ばないのかしら」

 

比べないようにしようと思っても、なかなか難しいものです。ですから、私(上谷)はおかあさま方には「焦らない」「ほかの子と比べない」とお伝えしています。

 

つい比べたくなってしまいますが、比べないほうが、ありのままのわが子を認めることができるようになります。

 

昔は私(上谷)もほかの子と比べてしまって、娘が小学校3年生くらいのとき、「ママのようにはなりたくない」と言われたことがあります。母親が悩んでしまうのは、みんな同じですね。

 

わが子を誰かと比べると、「うちの子はすごい」というよりも、「あの子はあんなにできるのに、うちの子はまだできない」と、できないことにばかり注目してしまうものです。

 

ですから、そうならないためにも、親が意識的に年齢の違うこどもたちと遊べる機会をつくってあげたいですね。

「今後、どう育てていきたいか」夫婦間で話し合いを

こどもの成長には、家庭での教育が一番の基礎となります。自分たちのこどもがどんな人間になってほしいか、どんな生き方をしてほしいかで、自然と教育方針は決まってくるものです。家族で同じ方向を向いていたいですよね。

 

もし向いている方向がバラバラだと、こどもが混乱してしまいます。大きな柱の部分は、「ここは◯◯だよね」と家族で話し合っておきましょう。

 

では、具体的にどんな場面で話し合うものでしょうか。

 

わが家(石田家)には9歳と5歳の男の子が2人いますが、それぞれ個性が異なります。上の子は興味を持つと、すぐ行動に移すほうです。たとえば目の前にボタンがあると、とりあえず押してみたくなります。一方、下の子は「このボタンは押したらどうなるのかな?」と考えるほうです。

 

それぞれに違う個性があるので、どんな幼稚園がよいか夫婦でよく話し合いました。その結果、別々のモンテッソーリ幼稚園を選ぶことにしたのです。そして幼稚園の足りない点をどのように家庭で補うかを話し合いました。

 

とくに学校や習い事選びのタイミングでは、こどもの様子を見ながら、それぞれに合うものを夫婦で考えるようにするといいでしょう。「今後どういうふうに育てていきたいか」を夫婦間で話し合い、協力し合うことで肩の荷も軽くなります。

 

子育ては悩みの連続でもあります。おかあさんが息詰まったときに、家族で相談できることが、みんなのしあわせにもつながるのではないでしょうか。

 

「親としてしっかりしなきゃ!」と、ずいぶん肩肘張っているおかあさんをよく見かけます。でも、大切なのは、こどもと一緒に成長していくことです。

 

こどもが成長しているのと同時に、大人は親になる勉強をしていると言えます。私たちは、こどもの成長を通して親にならせていただいているのですね。

 

はじめから親になっていたわけではなく、こどもが生まれて初めて親になるわけです。そこで何が大事かというと、こどもは生まれ持った自分の力で成長し、その様子を見て、私たち親も成長していくということです。

 

 

イラスト:hashigo
イラスト:hashigo

 

 

上谷 君枝

モンテッソーリ 久我山子どもの家 園長

 

石田 登喜恵

モンテッソーリ 久我山子どもの家 教師


0~6歳 すぐ手助けするより、じっくり見守る 自分で考えて動ける子になる モンテッソーリの育て方

0~6歳 すぐ手助けするより、じっくり見守る 自分で考えて動ける子になる モンテッソーリの育て方

上谷 君枝,石田 登喜恵

実務教育出版

モンテッソーリ教育とは、“こどものポテンシャルを大きく引き出す”として、いまの最も注目されている教育法の1つ。 ・自分で順序立ててものを考えることができる ・状況の読み取りが早く、臨機応変に対処することができ…

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