「短期前払費用の損金処理」を活用した税金対策はポピュラーですが、これは事業承継に活用することもできます。基本的な考え方を見ていきましょう。

節税だけでなく株価の引き下げにも有効

1年分の家賃を一気に払って税金対策――。

 

このフレーズ、オーナー社長なら一度は聞いたことがあると思います。そう、法人税を圧縮するときの税金対策として比較的ポピュラーなやり方で、「短期前払費用の損金処理」と呼ばれる方法です。
 
家賃以外にも地代、借入金利息、保険料などでも利用できます。いわば節税の定番メニューのような存在ですが、家賃一気払いを損金扱いすることで純資産の圧縮になり、これを事業承継の時期にタイミングを合わせて活用すれば、事業承継に有利な株価の引き下げにつなげることができます。
 
「家賃」を使うので当然、オフィスが自社ビルではなく賃貸であること、1年ごとに計算されるので何年か継続して効果を出す必要があります。また、契約の内容や契約の種類にも注意が必要です。

家賃を短期前払費用にする要件とは?

家賃を短期前払費用による損金処理にするためには、次のような用件をクリアする必要があります。
 
(1)一定の契約に基づき継続的にサービスの提供を受けるための支出であること。短期前払費用には継続性、等質性、等量性が求められるため、特定の時期に提供される広告掲載料、CM放映料、また相談内容がその都度異なる税理士の顧問料なども適用されません。
 
(2)サービスの提供期間が1年以内のものに対する支出であること。決算時期よりも先にサービスを受ける費用を期中に前払いしても、1年を超えてしまうので適用されません。
 
(3)支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるものであること。逆に費用を支払っても、対価としてのサービスを1年以内に受けないと適用されません。
 
(4)毎期継続して同じ処理をすること。決算の結果によってその期だけ適用することはできません。
 
(5)費用が収益の計上と対応させる必要がないものであること。借入金利息のうち預金や有価証券で運用するためにかかる利息には適用されません。
 
短期前払費用は確実性や継続性など一定の要件を満たす費用については、支払い年度のなかで経費にすることが認められています。

 

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