不動産投資を始めるきかっけはいろいろですが、「自己資金がなくてもOK」という宣伝文句に惹かれてスタートした人も多いのではないでしょうか。本記事では不動産を中心に総合的な資産形成の提案を行っている、株式会社アップルハウス代表取締役の鈴木優平氏が、本当に不動産投資は自己資金がなくても始められるのかを解説します。

不動産投資で「物件の購入」以外にかかるコストは?

――資金ゼロでも不動産投資を始めよう!

 

そんな文句の広告を見たことはないでしょうか? 不動産投資は融資を活用して始められる投資商品とはいえ、本当にそんなことができるのでしょうか? そこで不動産投資の自己資金について、順を追って考えてみましょう。

 

まず不動産投資にかかるコストを考えていきましょう。不動産を購入する時に、物件の本体の価格のほかに、諸経費という費用もかかります。

 

(1)物件本体の費用

不動産本体の費用に関しては、基本的には手付金10万円を支払えば、購入することが可能です。たとえば、物件価格が2,000万円の物件の場合、契約締結時に10万円の手付金を支払えば、残りの1,990万円は融資を活用することによって購入できます。

 

(2)物件本体の費用のほかに諸経費がかかる

不動産を購入する時に、物件本体の費用のほかに、以下の「諸経費」と呼ばれている費用もかかります。

 

●収入印紙代

●(融資を利用する場合)銀行への手数料

●火災保険

●登記費用

●固定資産税(精算金)

 

など、大体50万〜60万円かかりますが、こちらの費用は金融機関の了承があれば、物件価格に加算して融資に組み込むことができます。しかも、物件本体の融資金利と変わらずに受けることができます。なお、「不動産取得税」といって、不動産を購入して大体半年後に一回のみ支払う税金がありますが、こちらは現金で支払う必要があります。

厳密にいえば、「自己資金0円」はグレーゾーン

では次に「自己資金0円」でも、本当に不動産投資ができるか、見ていきましょう。

 

不動産購入に関しては、契約締結と同時に手付金という費用を支払う必要があります。上記にも書きましたが、金融機関の了承があれば、手付金も諸経費に入れて、融資に組み込むことによって、自己資金0円で購入することができます。

 

しかし、なかには、実際に銀行側は認めていないのに、業者側が金額を改ざんして、お客様に二重契約を交わすなどの違法行為に手を染めるケースも見られました。昨今問題になり、ニュースでも大々的に取り上げられたので、このような業者は淘汰されましたが、ゼロになったとはいい切れません。信頼できる業者かどうか、見極めるようにしましょう。

 

また「手付金は本当に払わなくてもいいのか」、昔から論点になっていました。宅建業法上では、手付金は支払う必要があるとの文言がありますので、その金額は1万円であっても、支払う必要があります。つまり、手付金の観点では、自己資金0円というのは、法律上では非常にグレーゾーンともいえます。

資金がない人は不動産投資をすべきではない

まったく自己資金がない方が数千万円もする不動産を購入するのは、非常にリスクが大きい投資になります。なぜならば、不動産投資をしていくうえで、空室になることもありますし、設備が壊れて突発的な出費が必要になるケースも考えられるからです。

 

なかには、ほとんど自己資金がなく、自己資金0円で不動産投資ができるという営業文句につられて、不動産投資を始めたのはいいものの、実際に設備が壊れ突発的な出費が必要な時に、費用を出すことができず、銀行に物件を差し押さえになって、自己破産した方もいます。

 

つまり、不動産投資はある程度自己資金ができて、次のステージとして、資産形成のために不動産投資を検討する、というのが本来の順序だといえます。また、購入資金の融資は受けられたとしても、上記のような突発的な出費はやはり現金が必要になるので、まったく自己資金のない方は避けるべきです。

不動産投資をスタートするタイミングは?

不動産投資に興味はあるものの、スタートするタイミングがわからず、なかなか次の1歩を踏み出せない方も多いでしょう。そこで筆者が提案する際に、重視しているタイミングを2つ紹介します。

 

(1)資金的なタイミング

今後、どのような給与の上がり方をしていくかは人それぞれですが、資金的なタイミングは1つの判断基準として挙げられます。たとえば、毎月2万円しか貯金できないのに「不動産投資をするために300万円を貯める」と決めたとしたら、資金が貯まるまでかなり時間がかかります。お金を貯めている間に、時間という大切な資産を無駄にしている、とも考えられるでしょう。それであれば、100万円を貯められたタイミングで不動産投資をスタートされたほうが、総合的に考えた時のメリットは大きいといえます。

 

もちろん、不動産投資だけではなく、普段の生活をしていくなかで突発的な出費も考えられます。その費用を出せない人は、100万円を出すのも基本的には難しいでしょう。ケガだったり、事故だったり、そのような突発的に起きることに対しては、月数千円の保険でカバーすることはできるので、保険に加入してリスクヘッジに備えるといいでしょう。

 

(2)信頼できる不動産のプロに出会えたか

少ない自己資金で融資を活用することができるとはいえ、不動産投資は数千万円もする投資商品です。つまり、資金計画をいかに立てるかが重要になります。

 

そのため、自身の属性、金融資産、投資目的など不動産投資をするにあたって、明確にしなければいけない事項はたくさんあります。したがって、いきなり物件を検討するのではなく、知識のあるプロに相談することが重要です。信頼できるプロであれば、もし相談者が不動産投資に適さなかったり、時期尚早だったりすれば、「待て」といってくれるはずです。相談する業者が信頼できるかどうか、見極めること大切なのです。

 

 まとめ 

本記事では、不動産投資に対する資金の考え方についてまとめました。何度もいいますが、不動産投資は融資を活用することはできるものの、まったく資金がない方にはかなりリスクが高くなりますので、オススメしません。不動産投資に限らず、自身のポートフォリオを作成し、無理のない投資をすることが、何よりも大切なことです。

 

 

鈴木 優平

株式会社アップルハウス/株式会社calf/株式会社Approom 代表取締役

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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