今回は、実際のオーナーによるコインランドリー経営の目的と活用事例を紹介します。※コインランドリー経営を始めた理由は、人によってさまざまです。セミリタイヤ、経営の多角化、相続対策など、オーナーの実例を紹介します。手間なし、人材要らず、低リスクで稼ぐことが可能なコインランドリー経営。本連載は、株式会社ジーアイビー代表取締役である鈴木 衛氏の著書『デキル経営者だけが知っている “稼ぐ”コインランドリー経営』より一部を抜粋し、経営者のあらゆる悩みを払拭する「洗濯ビジネス」を紹介します。

「コインランドリー」のオーナーになる理由

コインランドリーに注目する経営者は増えている。最近では、私たちのもとに銀行や税理士さんの紹介でお客さんが話を聞きに来る。その目的は様々だが、現在コインランドリー事業をしているオーナー様の事例を少し紹介したいと思う。

 

 事例1  属人的経営に疲れ、早い段階のセミリタイヤのため

―――人材派遣の会社を経営するK社長

 

K社長との出会いは、15年前にK社長が独立する際、会社を設立する相談に来た時が初めてとなる。以来、15年間会計顧問をやらせていただいている。この15年の間には、様々な経験をともにしてきた。派遣会社に対する行政の制度改正の対応、取締役の背任行為の対処など・・・。

 

K社長は、非常に実直で取引先からの信頼も厚く、これまで順調に業績を伸ばしてきた。取締役の背任行為以来、会社の規模は横ばいで安定した売上と利益を出している会社だ。もっと規模を増やしたらどうかという話を最近していた。

 

 

ある日、K社長と、会社の業績報告を朝から私の会社の事務所でしている時であった。10時ごろK社長の電話が鳴った。K社長はすごくいやそうな顔をして、発信先を覗き込んだ。相手が銀行からだとわかると、K社長はほっとした感じで電話に出た。銀行が電話してきたのは会社の試算表が欲しいという件だった。私はK社長の電話が鳴った時のK社長のいやそうな顔が気になり質問した。

 

「何か問題が起こっているのですか?」と聞くと、K社長が答えた。

 

「人材派遣の会社に朝かかってくる電話のほとんどは、現場のトラブルの電話ばかりです。人が来ていない、遅刻した、無断で休んだ。朝10時まで電話が鳴らないように、毎日祈っています。私が急遽現場に入ることもたまにあります。だから朝いちばんでかかってくる電話が怖いです。職業病ですね。そういう理由で、あまり会社を大規模にしたくないのです。ノイローゼになってしまいますから。早いところでセミリタイヤしたいですよ」と話した。

 

そこで私は、事業の多角化と未来の資産形成のためにコインランドリーの話をした。ビジネスの特徴、これからの市場、節税になることなど。K社長は、すぐにでもやりたいと言ってくれた。しかし、まだこのビジネスが構想段階であり、調査しているから待つように言って別れた。

 

それから6か月後に、K社長と再度お会いする機会があった時、この6か月の動きを聞いてびっくりした。K社長は、近くのコインランドリーをほぼ回りつくして情報を集め、すでにコインランドリー出店のための物件を10件以上視察しており、事業計画の相談、建築会社の選定、機器の配置の相談が来たのだ。

 

K社長は、物件の家賃が駐車場付きだととても高く、私の注意すべき点としてお話しした損益分岐点が上がってしまう問題を悩んでいた。

 

そこで私のほうから、コインランドリー事業のビジネスモデル化が済み、ちょうど出店物件が出てきたので、そのことをお話しした。その場で契約は成立して、記念すべき私の顧問先での1号店が4か月後にオープンした。3年経ったお店は順調に軌道に乗り、最近2件目のオーダーをいただいて、間もなく建築を着工する。

経営者による事業多角化の一環、医師の相続対策…

 事例2  今後の業界の動向に不安を覚え、多角化のためと節税のため

―――通信機器販売会社を経営するM社長

 

M社長は私の一番古いお客様で20年ほどの付き合いになる、お会いした当初は、私は税理士事務所に勤務していて、彼はまだ個人事業主で確定申告の相談であった。当時はお互い20代で話も合った。M社長はその後法人を設立し私も取締役に入った。私の役割は最高財務責任者といったところだろうか。買収の話から店のスクラップアンドビルドまで多岐にわたって携わらせてもらった。出会った当初は売上高5000万円、従業員2名の個人事業主だったが、今では売上高70億円を超え従業員も250名を超えている。

 

彼の悩みは、この先の通信業界への不安からの事業の多角化であった。不動産を購入してコンビニにも貸した。儲かると聞いて株式投資もした。しかし入口と出口で考えれば大して収益にならないものばかりで、株式投資もやりつくし「結局、素人がやる株式投資は博打と同じですね」と言っていた。

 

 

そこで私はコインランドリーの話をした。事業の特性、これからの市場に関する私の考え、節税の話。すると彼は、すべての話に納得したようで最後にこう質問した。

「これは銀行借り入れでできるのですか?」

「まだ銀行はコインランドリーが儲かることを認識していませんが、御社であれば運転資金として、十分に借り入れできるでしょう」と私が答えると、

 

「このビジネスは20年ビジネスなんですよね?利回りが5%を切ることはありますか?また利回り15%を超えることはありえますか?」

私は、すでに数店舗の実績から、5%を切ることはなく15%になる可能性もある旨を話した。するとM社長は、

「だったら5件やります」

私は驚いてもう少しゆっくりやっていきましょう、と話したが、

 

「だって銀行から資金を借りて身銭を切らずに始められて、20年で必ず元が取れて、利回り15%になれば1件あたり8000万円以上儲かる可能性があって、しかも900万円の法人税が下がるんですよね?それで僕が退職するときにはそのコインランドリーを退職金の代わりにもらえるんでしょ?やらない理由が見つからない」という。

 

そして翌週には契約を結び、すぐにとりあえず3件分といい1億2000万円を振り込んできた。今は4件のオーナーで着実に売り上げを伸ばし、5件目の建築が間もなく始まる。

 

 事例3  どこまで事業が続けられるかの不安と相続対策のため

―――30年以上内科医院をやっているS医師

 

Sさんは、ある銀行からコインランドリーのオーナー候補として紹介された。

 

Sさんは内科医院を開院して32年間、現在67歳でそろそろ引退を考えている。医者の仕事は大変だ。病気の人をたくさん診察するが、自分は診察が毎日あるので病気にはなれない。体の調子も悪く、いつ診察できなくなるのかわからないという。Sさんには子供が3人いるが跡を継ぐ者はいない。

 

Sさんは収入もかなりあり毎年節税に頭を悩ましていた。個人の場合は後述するが、所得税の損益通算を利用して、所得税と市民税の節税にかなりの効果がある。Sさんの場合は、4000万の投資で約1250万円税金が減ることになるのだ。所得があるうちに節税しなければ、所得がないときにやっても効果がない。

 

Sさんは相続が起こった時に子供たちが争わないように、金ばかり残すのではなく、金を生む資産を残したいと考えていたようだ。また、借入付きで収益物件を購入すれば未来の相続対策になるということで、コインランドリーに興味がわいたのである。

 

コインランドリー事業の話をしたところ、すぐに物件を紹介して欲しいと言われた。開業以来、借り入れをしたことがなかったSさんには、資金調達のお手伝いもした。紹介してくれた金融機関には申し訳ないが、金利をとんでもなく下げて15年返済、1年据え置きで融資は決まった。

 

想像がつくと思うが、通常であれば、資産形成ビジネスであるコインランドリーを全額借入で行うと、収益が返済に回るため、返済が終わるまでほとんど身入りがない。しかし、この返済期間で1年据え置きだと、いきなり1か月目から現金が入ってくる。

 

Sさんは私に言った。

「このビジネスは、書類を書くとお金が入ってくるビジネスだね」

現在、2件目のオープンに向けて準備をしている。

 

 

 

鈴木 衛

株式会社ジーアイビー代表取締役

 

デキル経営者だけが知っている  "稼ぐ"コインランドリー経営

デキル経営者だけが知っている "稼ぐ"コインランドリー経営

鈴木 衛

幻冬舎メディアコンサルティング

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