最近では「副業解禁」という企業が増えてきています。しかし、まだまだ副業NGに企業も多く、副業OKでも厳しい規定を設けている企業もあります。そんな中、不動産投資は副業に該当するのでしょうか? 本記事では、副業解禁が主流となりつつある今だからこそ、副業と不動産投資について詳しく解説していきます。

基本的に、不動産投資は「副業」には該当しない

【不動産投資経営は副業か?】

 

結論からいうと、基本的に不動産投資は、以下の理由で副業には該当しません。

 

●自分の意志ではない場合もある

●不労所得になるから

 

たとえば、親が不動産投資をしていて、相続時にアパート一棟を相続したとします。そのアパート経営をそのまま継続すれば、当然ながら不動産投資をしていることになります。ということは、不動産投資が副業と認定されれば、副業禁止の企業では強制的に売却しなければいけません。しかし、そのようなことまで企業は従業員に強制できません。

 

このように、自分の意志ではなく不動産投資をすることもあるので、不動産投資は副業とは言えないのです。

 

また、不動産投資は基本的に不労所得です。つまり、経営するのに手間はさほどかからないということです。

 

そもそも企業が副業を禁止する理由に、「本業がおろそかになる」という理由があります。不動産投資は不労所得なので、この理由に概要しにくいというわけです。

 

【就業規則の確認と事業の扱いに注意】

 

前項で解説したように、不動産投資は基本的には副業に該当しません。ただし、きちんと自社の規則を確認しておき、副業と認定されるケースがあることも認識しておくべきです。また、不動産投資が「事業」として扱われると副業と認定される可能性が高いです。

 

・会社の就業規則を確認

 

企業によって就業規則は異なりますが、厚生労働省が出典している就業規則のひな形(※)で解説すると、第3章「服務規律」の第11条「遵守事項」として、以下のような内容があります。

 

●勤務中に職務に専念すること

●正当な理由なく勤務場所を離れないこと

●許可なく他の会社などの業務に従事しないこと

●その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと

 

この条文があることで、多くの企業は実質「副業禁止」となっているのです。不動産投資は基本副業ではないものの、仮に上記に該当すれば企業からNGになることもあります。

 

たとえば、アパート経営をしており、管理会社に依頼せずに自分で管理しているとします。その影響で、日中に賃借人と頻繁にやりとりしたり、アパート経営が原因で遅刻や欠勤が多かったりすれば、上記に該当するので不動産投資もNGになることがあるのです。

 

※ 厚生労働省「モデル就業規則について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

 

・事業的規模を運営する

 

いくら不動産投資が基本副業の扱いとならなくても、それが事業的な規模であれば「勤務先以外に事業をしている」という扱いになります。その場合は、当然ながら前項の規定に違反するのでNGでしょう。一般的に、投資不動産に関しては以下の状況以上の場合は事業として扱われます。

 

●5棟10室以上の経営

●家賃収入が500万円以上

 

上記のように、戸建てなら5棟未満、集合住宅なら10室未満にしないと、事業的規模に該当します。それ以下の規模だとしても、家賃収入が500万円以上の場合も事業的規模に当てはまります。

 

ただし、親御さんが資産家であれば、この規模の不動産を相続することはあります。そのときは、勤務先に相談してみるべきです。事業的規模なものの、本業に支障がなければ、そのまま継続して不動産投資できる場合もあるでしょう。

公務員でも不動産投資は可能だが…

【公務員はどうか?】

 

さて、副業の話をすると多く聞かれる質問に、会社員ではなく公務員だと違うのか?という質問です。というのも、公務員は国家公務員法という特別な法律が適用され、その第103条と第104条の規定に以下のような文章があります。

 

●第103条「国家公務員の営利企業への就職や自営」が禁止

●第104条「非営利企業で報酬を得て働くこと」が禁止されている

 

このように、会社員よりも明確に副業が禁止されていますが、結論をいうと不動産投資は可能です。ただし、上述した「事業的規模」を超える場合は、人事院に相談した方が良いです。この辺りは会社員と同じで、事業と見なされれば、上記の国家公務員法に違反していると見なされるリスクがあります。

 

また、注意点は国家公務員ではなく、地方公務員は別の話になるという点です。というのも、地方公務員のルールも国家公務員法に準じていることが多いですが、自治体独自でルールを作っている場合もあるからです。そのため、地方公務員は、念のため自分の勤務している行政のルールを確認するのが無難と言えます。

 

【まとめ】

 

このように、不動産投資は基本的に副業扱いにはなりません。しかし、事業的規模である場合や、本業に支障が出てしまう場合には、企業や行政からNGが出ることがあるので気を付けましょう。気になる要素があれば、勤務先や従事している行政に相談してみることをおすすめします。

 

本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/sisanunyou/16922)。

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