マンションオーナーにとって最大のリスクは、投資物件が「空室」になることです。物件が空室になれば家賃収入が入らないので、収益を上げられません。しかし、空室を解消するときに「家賃を下げる」という方法はデメリットも多いです。そこで、本記事では家賃を下げる前にするべきことを3つ解説します。

空室解消のための「家賃値下げ」にはデメリットも多い

1. 家賃を下げない方が良い理由

 

まず、不動産投資をしていて、そもそも家賃を下げないほうがよい理由から解説します。その理由とは、主に以下の2点が挙げられます。

 

●全体的な収益に影響する

●今後の家賃設定に影響する

 

1-1 . 全体的な収益に影響する

 

まず、家賃を下げてしまうと、そのマンション投資から得られる利益を長期的に圧迫してしまいます。マンション投資の主な収益は「家賃」であり、家賃を毎月もらえるという「安定性」「継続性」がマンション投資の最大の魅力です。

 

つまり、いい意味で「毎月決まった収益が入る」という点が魅力なのに、家賃を値下げしてしまうと、「毎月決まった収益が入る」という点がデメリットになり得るのです。

 

たとえば、家賃を1万円下げれば、1年単位で見ると12万円の損失です。マンション投資は長期間投資なので、3年間賃貸すれば損失は36万円になります。一度家賃を下げると居住中に上げることは難しいので、この損失が解消されることはありません。

 

1-2. 今後の家賃設定に影響する

 

また、マンションは経年劣化していくので、長期スパンで見ると、どうしても築年数が経てば家賃を下げざるを得ません。家賃を見直すときには、「今までの家賃を基準にどの程度下げるか?」という考えになります。

 

そのため、前項の例でいうと「1万円家賃を下げた状態」から、さらに家賃を下げなければいけないということです。つまり、一度家賃を下げてしまうと、長期的な投資であるマンション投資では、損失がどんどん大きくなってしまうのです。

長期的な損失のない「礼金」から見直しの検討を

2. 家賃を下げる前にするべき3つのこと

 

前項のように、家賃を下げてしまうとデメリットが大きいので、家賃を下げる前に以下の3つのことを行いましょう。

 

●初期費用の見直し

●フリーレント期間を設ける

●空室保証の検討

 

2-1. 初期費用の見直し

 

まずは初期費用の見直しです。初期費用とは「礼金」「敷金」のことを指します。礼金は、賃借人がマンションオーナーにお礼として支払うお金のことです。敷金は、賃借人が退去するときに、賃借人負担の分をあらかじめ預かっておくお金です。いずれも、通常は家賃の1~2か月分の金額になります。

 

この2つのなかでは、礼金を下げることから検討したほうがよいでしょう。敷金を預かっておかないと、退去時の補修費用の徴収の際に揉める(賃借人が補修費用を支払わないなど)ことがあるからです。

 

礼金は家賃と違い、一度しかもらわない金額です。そのため、家賃を下げたときのように、「長期的な損失」も「家賃見直し時のデメリット」もありません。

 

2-2 . フリーレント期間を設ける

 

つづいて、フリーレント期間を設けることを検討してみましょう。フリーレントは、フリー(無料)でレント(貸す)する期間をつくるということです。一般的には、「1か月分の家賃は無料」などのフリーレントが多く、長くても3か月程度になります。

 

フリーレント期間を設ければ、賃借人は最初の家賃を支払わなくてもいいので、初期費用が減ります。賃借人が新しい賃貸マンションに引っ越すときには、「引っ越し費用」「家具・家電費用」などの初期費用がかかります。

 

そのため、フリーレント期間を設ければ、賃借人にとっては初期費用を抑えられるというメリットがあるのです。これは、先ほどの「礼金」と同じく、家賃を下げたときのデメリットが解消され、さらに「フリーレント物件」という目新しい物件に見えます。

 

ただ、フリーレント期間を設けている物件は「人気がない物件なのかな?」と思われてしまうリスクもあります。そのため、「礼金をなくす」のか「フリーレント期間を設ける」のかは慎重に検討しましょう。

 

2-3. 空室保証の検討

 

さいごに空室保証の検討です。そもそも、家賃を下げるということは、空室期間が続いているということです。そのため、空室になっても不動産会社が家賃を保証してくれる「空室保証」は、空室期間が続くというリスクを解消してくれます。

 

ただし、空室保証は以下の点に注意しましょう。

 

●手数料を取られる

●2年程度のスパンで家賃の見直しが入る

 

不動産会社にもよりますが、家賃の10%程度の手数料がかかります。つまり、家賃を10%下げたことと同じ状態になるということです。ただ、賃借人に提示している家賃を下げているワケではないので、家賃を下げたときに起こる「家賃見直し時のデメリット」は解消されます。

 

3. 安易に下げないこと

 

このように、空室期間が続いているからといって、安易に家賃を下げる選択をしてはいけません。まずは、上記3つの方法を試すべきです。その上で、どうしても空室が続くようであれば、最終手段として家賃の見直しを検討しましょう。

 

本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/tintaikeiei/12217)。

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