本連載は、亜州IR株式会社が編集・発行した書籍『中国株四半期速報 2018年夏号』の中から一部を抜粋し、中国株の基礎知識とハンセン指数採用銘柄に選ばれた企業情報を15社ご紹介します。

「主板」と「GEM」の二市場が併存する香港市場

中国株マーケットに含まれる香港市場について述べます。まず、取引所の種類は、主板(メインボード)とGEMの二市場が併存します。日本でいえば、前者は東証一部のような位置付けです。

 

メインボードの上場銘柄に大型優良株が多く見受けられるのに対し、比較的に規模が小さい企業が目立つのがGEMです。成長企業市場(Growth Enterprise Market)を意味するGEMは、日本のマザーズやジャスダックに相当すると考えてよいでしょう。

 

有望ベンチャー企業に資金調達の場を提供する目的で設立されたGEMは、株主数や売上高などの一定条件さえ満たせば、利益の計上がなくても株式の公開を認めています。中小型のIT・バイオ企業が多くみられるのが特徴です。

 

なお、メインボード、GEMを問わず、香港に上場する銘柄はすべて香港ドルで売買されます。

 

[図表]中国株式市場の概要

(2018年6月1日時点) 算出為替 HKD:13.95円 人民元:17.07円 (※)「相互乗り入れ」により、一部で規制緩和あり。
(2018年6月1日時点) 算出為替 HKD:13.95円 人民元:17.07円
(※)「相互乗り入れ」により、一部で規制緩和あり。

香港市場に上場する大型優位株、ハンセン銘柄

<ハンセン銘柄>

香港市場に上場する大型優良株であるハンセン銘柄を押さえて置く必要があります。メインボード銘柄の中でも、最も指標性が高いといわれるハンセン指数を構成するのが同銘柄です。香港を代表する50社を組み入れたハンセン指数は、構成銘柄の多くが地元(香港)の優良企業。例外として10銘柄がレッドチップ、9銘柄がH株(*)

*ハンセン指数を構成するレッドチップは招商局港口(144/HK)、中国中信(267/HK)、中国海外発展(688/HK)、チャイナ・ユニコム(762/HK)、華潤電力控股(836/HK)、中国海洋石油(883/HK)、中国移動(941/HK)、華潤置地(チャイナ・リソーシズランド:1109/HK)、中銀香港(2388/HK)、中国蒙牛乳業(2389/HK)。H株は中国石油化工(386/HK)、ペトロチャイナ(857/HK)、中国建設銀行(939/HK)、中国神華能源(1088/HK)、中国工商銀行(1398/HK)、中国平安保険(2318/HK)、中国人寿保険(2628/HK)、交通銀行(3328/HK)、中国銀行(3988/HK)。

 

ハンセン指数構成銘柄の特徴は、その圧倒的なプレゼンス(存在感)にあります。銘柄数は香港市場全体の3%に過ぎませんが、時価総額ウェイトが全体の約7割を占めます。個別では、金融グループ大手のHSBC(5/HK)や香港財閥系コングロマリットの長江和記実業(旧長江実業:1/HK)など地場の大型株が有名ですが、最近は通信キャリア中国最大手の中国移動(941/HK)や本土大手行の建設銀行(939/HK)など中国銘柄のウェイトが高まりつつあります。

 

<H株>

簡単に言うならば、中国本土に登記された企業が香港市場で発行した株式。日本株にたとえれば、トヨタが米国市場に上場し(ADR形式)、現地の投資家に売買の場を提供しているようなイメージです。こちらは香港投資家の売買対象になるので、他の上場銘柄と同様に香港ドルで取引されるのは言うまでもありません。メインボードには、こうしたH株が230銘柄ほどあります。

 

<レッドチップ>

H株と似たところでは、同じく本土絡みの銘柄であるレッドチップも重要。これを一言でまとめるならば、中国政府系の資本であるにもかかわらず、本社を香港に登記する形態の企業です。主要資産は中国本土にあり、現地でビジネスを展開しています。優良銘柄を意味する「ブルーチップ」をもじり、共産党を象徴する赤い銘柄(レッド)と呼ばれるようになりました。

 

資本構成に関する明確な定義はないものの、国営機関や省市部門など中国政府系の資本が35%以上を占める場合が多いようです。香港のほかは、税制上の都合でケイマン諸島、バミューダ諸島、バージン諸島などに登記される例もあります。

 

中国資本の企業が香港に上場している――という意味では、H株と実質的な違いはないのですが、一般に上場手続きの面でH株よりも簡便と考えられているようです。中国企業が本土登記のままで株式会社化→国内当局に対する域外上場申請→香港当局に対する上場申請、という段取りを経るよりは、一般の香港企業と同様の手続きだけで足りるレッドチップ形態の方がスムーズに話が進むというわけです。極端な話では、経営難の香港上場企業を買収して、国有企業の資産を注入するという「裏口上場」もみられました。

 

メインボードに上場するレッドチップは159銘柄ほどありますが、うち、レッドチップ指数を構成するのは25銘柄です。業種別ではコングロマリットや通信、IT、金融、サービス企業などで構成されています。

 

<A株とB株の違い>

上海と深セン市場では、A株とB株の2種類が取引されています。両者は株主の権利に差がありませんが、取引可能な投資家の資格と取引の通貨が異なります。A株を取引できるのは、中国の国内投資家と特定の条件を満たした適格外国機関投資家(QFII)(後述参照)。すべて人民元で売買されます。一方、B株は外国の個人・法人にも売買が認められ、上海では米ドル、深センでは香港ドルで取引されます。

 

A株は以前、国内投資家による売買に限定されていましたが、2002年11月、QFII制度(後述参照)が導入されたことを受け、一部の外国法人に条件付きで解禁されました。また、14年11月には「相互乗り入れ」開始により、一部の銘柄が域外の投資家に開放されています(次項参照)。一方のB株も、当初は外国の投資家だけに認められていましたが、2001年2月からは国内投資家の売買も可能となりました。

中国株四半期速報 2018年夏号

中国株四半期速報 2018年夏号

亜州IR株式会社編集

亜州IR株式会社

合計460社もの中国株の情報を収録し、最新の業績内容もカバーしています。出資動向を図示的にまとめた「資本構成図」などにより、銘柄を研究する上でより理解が深まる一冊です。

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