今回は、仮想通貨取引で致命傷となり得る「送金ミス」を防ぐ方法を見ていきます。※本連載では、ブログ『ニルスの暗号通貨日記』を運営するニルス氏に、仮想通貨投資におけるリスク対策やセキュリティについて解説していただく。

通貨ごとに「アドレス形式」は異なるものの…

株や債券などに加え、新たな投資先として注目を集めている「仮想通貨」には、サラリーマンから主婦、学生までさまざまな人が投資を行っています。誰もがはじめは初心者です。失敗から学んでいければよいのですが、1つの失敗が致命的な損失を招くこともあります。そこで今回は、仮想通貨初心者が陥りやすい失敗例を見ていきましょう。

 

ある程度、仮想通貨に触れてきた人が「仮想通貨での失敗」と聞いてまず思いつくのが「送金時のミス」だと思います。

 

仮想通貨を自分の「ウォレット」と呼ばれる金庫・財布代わりのソフトウェアに送金したり、取引所に入金したりと、仮想通貨を送金する場面は少なくありません。一般的な仮想通貨の送金時には、相手先の「アドレス」と呼ばれる文字列と、金額を入力することになりますが、このアドレスが曲者です。

 

ビットコインにはビットコインのアドレス形式、イーサリアムにはイーサリアムのアドレス形式と、仮想通貨ごとに異なる形式を持っているのです。慣れてきた人にはある程度なら通貨ごとの特徴がわかるのですが、初心者の方には意味不明な英数字の文字列にしか見えないことでしょう。

「テスト送金」の癖をつけ、致命的損失の回避を

たとえば、自分のウォレットから仮想通貨取引所の口座に仮想通貨を送りたい場面を想定しましょう。その際、手持ちのビットコインを取引所のビットコイン口座(アドレス)へ送金しようとしましたが、誤って他の通貨の入金アドレスや、どこかでコピーしたアドレスなどに送ってしまったという失敗が考えられます。

 

実際は、多くのウォレットや取引所では形式の異なる他の通貨のアドレスには送れないようになっています。そのため、ビットコインをイーサリアムアドレスに送ってしまうということは、よほど特殊な環境で取引を行っていない限りあり得ません。

 

しかしながら、ビットコインとビットコインキャッシュ、イーサリアムとイーサリアムクラシック、各種トークンなど、一見同じようなアドレス形式の通貨の場合、送金自体はできてしまう場合があります。

 

最悪の場合、誤送金してしまった通貨は永久に取り戻せません。たとえば、所有者のいないアドレスに送ってしまった場合、どのアドレスにいくら入っているかはわかりますが、誰もそのアドレスの資産にアクセスすることはできないのです。そのため、誤送金してしまった資産は事実上消失します。

 

誤送金による致命的な損失を被らないために、少額でテスト送金することをおすすめします。1.5BTCを送金したい場合は、一度0.001BTCの送金を試し、問題なく着金したことを確認できれば、改めて残りの金額を送るという方法です。時間もかかりますし、送金手数料も2回分かかってしまう効率の悪い方法ではあります。

 

しかしそれでも、誤送金によって資金が消失するよりはずっとマシではないでしょうか。初心者以外でも、ふと気を抜いた時にやってしまうのが誤送金の怖さです。テスト送金の癖をつけることで、致命的な損失を回避しましょう。

 

 

ニルス
サイト制作、WEB広告、画像編集などを含む何でも屋事務員として働くサラリーマン

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