今回は、不動産仲介業者が使う「アテ・ナカ・キメ」物件とは何かを見ていきます。※本連載は、一般社団法人不動産投資家育成協会認定講師、松本光彦氏の著書『不動産投資はチームプレイでうまくいく! サラリーマンが副業で安定収入を得る方法』(合同フォレスト)から一部を抜粋し、高い入居率を維持し続けるための「投資物件の管理術」を紹介します。

入居希望者ががっかりさせる物件=「アテ(当て馬)」

「アテ・ナカ・キメ」って面白い言い方ですよね。正式には、「当て物件」「中物件」「決め物件」のことを意味しています。これから少し、その内容について見ていきましょう。

 

(1)当て物件

当て物件とは、入居希望者を最初に案内する部屋のことです。ここでは、内見した入居希望者ががっかりするような物件、つまり当て馬を紹介します。当て馬の物件だから当て物件なわけです。

 

「えっ、どうしてそんなことをする必要があるの?」普通は不思議に思います。でも、これがまさに賃貸仲介業者の営業マンの作戦なのです。

 

営業マンは内見を前に、どのような部屋を選び、どういう順番で案内するかについて、事前に戦略を立てています。そして、最初のヒアリングで入居希望者の条件を聞きだし、自分が契約を取りたい部屋(=受け取りの多い部屋)に最終的に案内できるようなルートを組み立てます。そのためのがっかりであり、当て馬なのです。

 

一般には希望する条件よりも少し条件が悪い部屋を案内します。間取りが狭い、設備が古い、駅から遠い、などです。最初に悪いところを見れば、次に見る部屋が実態よりも良く見えてしまいます。そんな心理効果を生み出すのが当て物件の狙いです。

 

(2)中物件

中物件とは、可もなく不可もなく、文字どおりの真ん中、「まあまあ」の物件です。当て物件に比べれば多少は魅力的、でも「この部屋に住みたい!」とまでは思わない、言い方を変えれば決め手に欠ける部屋は中物件に当たります。

 

当て物件ががっかりさせる(=気持ちを下げる)効果を狙ったものであったのに対し、中物件は「この部屋、どうしようか?」と入居希望者に思わせること、悪く言えば、少し迷わせることを目的としています。

 

入居希望者が迷いの表情を浮かべるや否や、営業マンは「この近くにこの部屋の家賃と同じくらいで、もうちょっと設備の良い部屋がありますけど、ご覧になられますか?」と口にしながら、うまく次の物件へと誘導するわけです。

営業マンが何としても契約を取りたい物件=「キメ」

(3)決め物件

決め物件とは、文字どおり決めてほしい物件です。別の言い方をすれば、営業マンが何としても契約を取りたい物件です。それが入居希望者の想いと必ずしも一致するわけではありません。むしろ、違っている場合のほうが多いようにも思います。

 

インターネットに掲載される見栄えの良い部屋が、決め物件とは限りません。中物件であればまだ良いほうで、場合によっては案内すらされないケースも、残念ながら存在するのが実情です。

 

入居希望者の見つけてきた部屋がうま味のない(=受け取りの少ない)物件であれば、営業マンは実に説得力のあるトークで希望を潰しにかかります。

 

「たしかに良い部屋ですが、買い物には不便だと思います」

「設備は少し古いですが、同じ間取りでもっと家賃の安い部屋もありますよ」

 

嘘を言うことは決してありませんが、その部屋のデメリットを強調したり、あるいは、自分が案内したい部屋のセールスポイントを強調したり、ということをするわけです。そうして入居希望者は決め物件へと誘導されることになります。

 

言うまでもなく、大家として大切なポイントは、いかにしてあなたの物件を「決め物件」に選んでもらうか。そのために必要なことを次で詳しく説明します。

不動産投資はチームプレイでうまくいく! サラリーマンが副業で安定収入を得る方法

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松本 光彦

合同フォレスト株式会社

信頼のおけるチームメンバーで運営した結果、18カ月目で家賃収入1億円を突破! サラリーマン卒業も夢ではない! ●目次 第1章 平凡なサラリーマン人生がこれだけ変わった<生き方の選択理由> 第2章 誰にでもできる!? こ…

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