IT技術による投資環境の整備に加え、長期に渡る低金利などにより、国内の投資熱は一段と高まっています。本連載では、経済評論家・杉村富生氏の著書、『東京オリンピックまであと2年 新成長株で勝負せよ!』(すばる舎)の中から一部を抜粋し、東京オリンピックまであと2年となった今、投資で勝つための「日本株を取り巻く現状」を解説していきます。

”絶好調”のときこそ、外部環境に細心の注意を

外国人は2017年の9月第2週に入って、強気路線に転換した。実に、10月第4週までの約2カ月間に現物を2兆円、先物を3兆1000億円(計5兆1000億円)買い越している。当初はショート・ポジション(空売り)の手仕舞いだったが、後半は新規の買いが中心だろう。
10月2日〜24日には、日経平均株価の戦後最長となる16連騰もあった。これは、買い気の強さを示している。売り方は全滅に近い。マーケットには強気の声があふれている。

 

しかし、こんな〝絶好調〟のときこそ、外部環境に細心の注意が必要である。
先人は、「高値圏では悪材料を探せ!」と教えている。

 

ドナルド・トランプ氏が、第45代アメリカ大統領に就任したのは2017年1月20日である。2018年1月20日には、就任1年が経過した。

 

しかし、2016年11月に行なわれた大統領選挙で歴史的な逆転勝利を収め、「トランプ・フィーバー」を巻き起こした熱気はすっかり消え失せてしまった。ロシアンゲート事件を材料に、史上初の弾劾に追い込まれる可能性も消えていない。

 

「アメリカ・ファースト」をスローガンに、TPP(環太平洋経済連携協定)離脱、メキシコ国境の壁建設、オバマケア(医療保険制度改革)の見直し、パリ協定の離脱などを声高に叫び、そのいくつかは実行に移してきたものの、内政は思いどおりに行かない状況が続いている。

 

何しろ、次期FRB(連邦準備制度理事会)の有力候補であったコーンNEC(国家経済会議)議長が「人種差別」に反対、辞意を表明したほどだ。この結果、コーン氏のFRB議長就任は消えてしまった。もっとも、これはコーン氏がドル安論者だっただけに、株価には好材料だった。

 

結局、FRB議長にはジェローム・パウエル氏が選ばれた。ライバルと目されたコーン氏と違って、パウエル理事は実業界出身、政策は緩やかな利上げ路線を維持するだろう。

 

一方、2017年の8月下旬、アメリカのジャクソンホール(ワイオミング州)で行なわれた経済シンポジウムにおいて、欧米の中央銀行は金融緩和の〝出口〟に向けた明確な発言をしなかった。

 

もっとも、FRBは2017年12月に5回目の利上げに踏み切ったし、2018年6月には6回目の利上げをすると見られている。テーパリング(余剰資金の回収→総資産の圧縮)は、計画どおり推進するだろう。

 

[図表]

(出所)時事通信社
(出所)時事通信社

混乱ぶりに拍車がかかっているトランプ政権

CNNが実施した世論調査(2017年8月時点)では、トランプ大統領の支持率が38%と就任以来、最低に落ち込んだ。不支持率は5%である。

 

ちなみに、歴代のアメリカ大統領のなかで、就任後半年の時点で支持率が50%を切ったのは、1993年に就任後、半年で支持率が44%に落ち込んだビル・クリントン元大統領しかいない。

 

今回の調査では、47%がトランプ大統領の実績をまったく評価しないと答え、大いに評価するという回答は24%にとどまった。八方ふさがりの状態に、トランプ大統領にとって起死回生策の1つはドル高阻止政策である。

 

外部環境では、折に触れて為替調整圧力が強まるだろう。アメリカは貿易黒字国に対し、為替チェックを強化している。内政の不振の解決策を外部に求めるのはよくあるケースだ。ただし、日米の金融政策の違いを考えると、一方的なドル安・円高は考えにくい。むしろ、2018年は円安だろう。

 

今後のNY市場を占う意味では、パウエル氏の就任は好感される。ドラギECB総裁の任期は2019年12月末までだが、こちらは早くも、金融正常化論者のドイツ連銀総裁であるバイトマン氏の名前が取り沙汰されている。

 

すなわち、欧米の超金融緩和、マイナス金利政策は早晩、終えんするだろう。まさに、「いつまでもあると思うな、親と超低金利」ではないか。

 

なお、日米欧、中国の金融当局は2008年9月のリーマン・ショックに対応し、ベースマネーを10兆ドル供給した。これにより、貸し出しなどによって世界のマネーサプライ(通貨供給量)は40兆ドル増の90兆ドルになった。そう、ジャブジャブと資金が供給されたのである。

 

しかし、金融当局は日銀を含め、明らかに〝出口〟に向かっている。金融の世界は、徐々に正常な姿を取り戻す方向に向かうだろう。これが「潮流の変化」だ。やや長期的な視点だが、相場を分析するためには〝変化の予兆〟を見逃してはいけない。トレンドの転換につながることだってあり得る。

 

2018年がドル高・円安の展開になると考える背景には、アメリカの金利上昇、好景気に加え、後述するようにレパトリ減税(本国投資法)の施行がある。

本連載は、杉村富生氏の著書『東京オリンピックまであと2年 新成長株で勝負せよ!』(すばる舎)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

東京オリンピックまであと2年 新成長株で勝負せよ!

東京オリンピックまであと2年 新成長株で勝負せよ!

杉村 富生

すばる舎

1949年熊本生まれ。明治大学法学部卒業。軽妙な語り口と分かりやすい経済・市場分析、鋭い株価分析には定評がある。「個人投資家サイドに立つ」ことをモットーに精力的な活動を続けており、兜町における有望株発掘の第一人者と…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録