市区町村が半減!? 財政破綻が懸念される地方自治体の現況

今回は、財政破綻が懸念される地方自治体の現況について見ていきます。※本連載は、コミュニティ・ユース・バンクmomo・代表理事・木村真樹氏の著書、『はじめよう、お金の地産地消――地域の課題を「お金と人のエコシステム」で解決する』(英治出版)の中から一部を抜粋し、「新しいお金の流れ」を地域に生み出し、地域の課題を解決するNPOバンクの取組みを紹介します。

財政破綻した夕張市は、住民サービスが大幅に低下

「このままでは2040年には、全国1800市区町村のうち半分が消滅する」

 

こんな衝撃的な予測が数年前に日本創成会議によって示されました。メディア等でもずいぶん話題になったので、ご存じの方も多いでしょう。

 

人口減少、高齢化によって財政難がいっそう深刻化し、日本の地方自治体の多くが行政サービスを維持できなくなるというのです。

 

現に2007年、北海道夕張市が破綻したほか、財政破綻が懸念されている自治体がいくつも出てきています。人口が極度に減ってこのままでは存続できない「限界集落」という言葉も一般に知られるようになりました。

 

財政が破綻した自治体では、必然的に公共サービスが損なわれます。

 

北海道夕張市では、財政破綻後、住民サービスがぎりぎりまで削減されています。多くの公共施設が閉鎖された一方で、税金や水道料金等は軒並み値上げされました。ごみの回収も有料です。市立病院も廃止されてしまいました。特に子どもやお年寄りのいる家庭にとっては深刻な問題でしょう。

 

このため人口流出がさらに加速し、破綻時から3000人減って現在は1万人以下になっています。65歳以上の人口の割合、いわゆる高齢化率は、全国最高の48%です。高齢化率の上昇は、医療・介護の負担がさらに増すことを意味しています。

 

そして将来、この夕張と同じような状況になる恐れのある自治体が、数多くあると言われているのです。

経常収支比率が100%を超える自治体は多い

自治体の財政の健全度を見るときによく使われる「経常収支比率」という指標があります。人件費や扶助費、公債費等の削るのが難しい経費や、毎年の支出が決まっている経費(義務的経費)の、一般財源に対する割合です。夕張市はこの比率が120%にも上っていますが、ほかにも100%を超える高水準の自治体がたくさんあります。

 

問題はいわゆる田舎に限ったことではありません。千葉市では2014年、家庭ごみの回収について1リットルあたり0.8円の手数料を徴収するようになり、多くの住民から反対の声があがりました。財政が厳しくなれば、そのようなかたちで生活に影響が生じます。

 

ぼくの住んでいる愛知県は、人口が今も増え続けている全国的にも稀な県ですが、2020年には減り始めると予測されています。2040年には2010年と比較して子どもの数が30万人近く、労働者は100万人近く減り、65歳以上の高齢者は70万人以上、75歳以上の後期高齢者に限っても54万人も増えるそうです。

 

介護・医療の負担が激増する一方で、働き手は減る。介護の必要性に迫られて仕事を退職する「介護離職」や、介護が必要にもかかわらず、自宅や病院、施設で介護を受けることができない「介護難民」など、どれほど深刻な状況をもたらし得るかは、すでに多くの方が指摘していることです。

 

[図表]日本の世代別人口と高齢化率の将来設計

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

 

もしかしたら、あなたが今住んでいるまちも、数十年後には自治体として存続していないかもしれません。それは、今の暮らしの基盤が壊れてしまうことを意味します。ほかの自治体に引っ越せば済む話でもありません。居住地域の一極集中と、過疎地域の荒廃が進み、治安も悪化。地域の人のつながりは今以上に失われてしまいます。ぼくたちの暮らしは必然的に、不便で不快なものになってしまうでしょう。

 

あなたは、そんな未来に対する備えができているでしょうか。

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連載NPOバンク主導の新しい取り組み…「お金と人のエコシステム」による地域の問題解決

公益財団法人あいちコミュニティ財団 代表理事
コミュニティ・ユース・バンクmomo 代表理事 

1977年愛知県名古屋市生まれ。静岡大学卒業後、中京銀行勤務を経て、A SEED JAPAN事務局長やap bank運営事務局スタッフなどを歴任。
地域の課題解決に地域の“志金”を生かす「お金の地産地消」を推進したいと、2005年にコミュニティ・ユース・バンクmomo、2013年にあいちコミュニティ財団を設立し、NPOやソーシャルビジネスへの助成・補助・融資による資金支援と、ボランティアとの伴走支援に取り組んでいる。
中京大学大学院客員教員、東海若手起業塾実行委員会理事/事務局長、全国NPOバンク連絡会副理事長、全国コミュニティ財団協会副会長、日本NPOセンター評議員、日本ファンドレイジング協会理事なども務める。
2015年に第3回「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」国内部門賞、2016年に寄付月間2015大賞、2017年に第12回「日本パートナーシップ大賞」地域ファイナンス賞を受賞。"

著者紹介

はじめよう、お金の地産地消

はじめよう、お金の地産地消

木村 真樹

英治出版

「お金の流れ」が変われば、地域はもっと元気になる。 子育て、介護、環境…地域づくりに取り組む人をみんなで応援する仕組みをつくろう。 若者たちが始め、金融機関、自治体、企業、大学、そして多くの個人を巻き込んで広が…

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