今回は、「利食いドテン」「損切りドテン」の狙い方について解説します。※本連載は、投資顧問会社「林投資研究所」代表取締役の林知之氏の著書、『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)の中から一部を抜粋し、個人投資家のための「うねり取り」実践のポイントを紹介します。

“手を引く”ときは一定の素早さが重要

「利食いドテンは愚の骨頂」

 

昔からある、相場格言のひとつである。

 

買っている、上がってきた、「ここが天井だ!」と一点狙いで手仕舞い売りする……一点狙いはダメと述べたが、手仕舞いするだけなら、すべてを現金ポジションに変える行為、ニュートラルポジションに戻る“撤退”の行動だから問題はない。

 

利を伸ばすために“探る”ことも必要だが、利食いでも損切りでも“手を引く”ときは一定の素早さが重要だからだ。

 

だが、「ここが天井だ!」と決めつけ、持っている現物1万株をすべて売ると同時に、「えいやっ」と1万株まとめてカラ売りするというのは、いくらなんでも乱暴すぎる。

 

「天底を当てよう」というイモ筋の発想が極限まで膨らみ、「自分は神だ」と酔いしれるような気分で一点狙いの決め打ちを行うなんて、当たるとか曲がるとかいう確率の問題ではない。

ツナギもドテンも「秘密のワザ」ではない⁉

個人プレーのトレードでは、1人で数役をこなす。プレーヤーの自分、それを管理する自分、相談相手となる自分、等々。暴走を止めるだけでなく、状況によっては背中を押す係も必要だ。

 

上記の利食いドテンは、管理者がプレーヤーのハチャメチャな行動を容認することだから、“チーム”が崩壊してしまうのだ。

 

逆に、「損切りドテン」は容認してオーケーだ。

 

買った、意に反して下がった、「下向きだ」と判断した……買いポジションを投げるとともにカラ売りを仕掛ける行動は、プレーヤーとして正しいはずだ。見込み違いを素直に認めて素早く動くのだから、管理者が止める理由はない。

 

だが、この場合でも、いきなり計画数量目いっぱいというのは行き過ぎで、素早くついていくために一発目が多くなるのは当然としても、やはり分割を前提とするべきだ。

 

さて、前項の「ツナギ」で説明したように、利食い(ポジション減少)やツナギ(両建ての活用)も分割で、ドテンする場合もユルユルと変化していく、周囲から見ると“やってる感”がないくらいの雰囲気で、相場の流れにゆったりとついていく姿勢が望ましい。

 

さらには、やはり前述したように、買ったら売り手仕舞いする、カラ売りしたら買い戻すという「単純な行動」を常に意識したい。ツナギもドテンも、秘密の“ワザ”のように認識してしまうと、個人的な“やってる感”が増すだけで、軸がブレまくる懸念が生じる。

 

ツナギは限定的に利用して効果が上がるもので、多用は禁物。ドテンを裁量で行うと乱暴になりがちだから要注意。単発の売買、単純な行動をベースに、必要最低限の工夫で質を高めるようにしたい。こねくり回すと、自ら迷走するだけである。

本連載は、林知之氏の著書『プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践』(マイルストーンズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者・版元および幻冬舎グループはその責を負いません。

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

プロの視点 うねり取り株式投資法 基本と実践

林 知之

マイルストーンズ合資会社

価格の自律的な動き、つまり自然に発生する変動を利用して利益を上げる「うねり取り」は、数多くのプロ相場師が好んで利用している。この「うねり取り」による売買法を基本から実践まで、幅広く、丁寧にわかりやすく解説したの…

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