自分が得た「気づき」を次世代に…経営者が伝えた思いとは?

今回は、自分の経営者人生で得た「気づき」を若い世代に伝えるべく出版した、ある経営者の事例を見ていきます。※本連載では、毎回ひとつの事例をあげ、今なぜ社長作家が激増しているのか、そして、本を出すことでどんなドラマが生まれるのかを探っていきます。

「自分の使命とは何か?」

横山和之氏は神戸に本社を置く企業の経営者。

 

創業から34年、その変遷はただ事ではなかった。多くの人との出会い、乗り越えるべき課題、苦難と喜び・・・そのどれかひとつでも欠けていたら、今の自分はいなかっただろう。彼はそう語る。

 

若いころから人よりも多く働くことを意識していたが、その背景には祖母から受けた“ひとつの言葉”があった。

 

「あんたの手は戦死したお祖父さんと同じ形をしているから、よく働くようになるよ」
その言葉を祖父の墓前で聞いたことが「人の三倍働き続ける」ことを決意したきっかけだった。

 

「自分は社会に対して、何をすべきなのか?」

 

自分が売った商品で顧客が幸せになり、そのことに喜びを覚えた。自分の使命をそこに強く感じた。そうしてサラリーマン生活を経て26歳で起業した。

 

企業経営は決して楽なものではない。最初に大きな産みの苦しみがある。しかし、だからこそ「何が起きても、この会社を守らなければならない」そうした気持ちが湧いてくるのだ。

 

近年、働き方は多様化し、かつてのような「終身雇用」「年功序列」そうした言葉は耳にしなくなった。これまでにはなかった新たなアイデアが、大きなビジネスチャンスになる、そんな例も多い。一方で安定的な志向がまだ根強く残り、若い世代がどんどんチャレンジできるための土台も不十分である。

 

「自分の使命とはなんだろうか? どうすれば社会をより良くしていけるだろうか?」
働く世代の人にその意識を持ってもらい、どんどんチャレンジしてほしいと、横山氏は語る。

 

そしてそうした人たちと一緒に仕事ができたらどんなに素敵かと、そう願っている。 

 

 

創業した日の朝、彼は以下のような詩情を詠んでいる。

 

「社会という大海は、沖に向かって漕ぎ出す者を容易に前には進ませない。漕いでも漕いでも押し戻す。」

 

その後にこう続けている。

 

「しかし 、ひとたび海の引力を得られたら、船は静かに吸い込まれる。海と船との力学が、船を大海へと押し進める。」

 

微かな不安と、大きな期待に満ちた本心からの詩であった。

 

「波乱万丈だった自分の人生で得た気付きを、若い世代に残すことが自分の新たな使命である」

 

その思いで横山氏は筆をとり、自分の人生の軌跡を伝えるべく書籍出版を決意した。

 

 

横山和之 著

『一心』

 

 

夢、情熱、そして感動。

経営者にとって最も重要なことは、会社を永続させる組織にすることだ――。

 

1983年株式会社アートデザインセンター創業。起業当初の採用、会社組織の構築、阪神淡路大震災、そして新事業展開・・・、簡単にはいかないことも多かったが、ただひたむきに一心に仕事に取り組んでいると、いつも人と出会い、乗り越えることができた。クライアントの課題を解決するため、商品の企画提案から企業ブランディングまで請け負ってきた歴史を経営理念とともに振り返る。

 

夢をもって、情熱をそそぐ経営者として、人生を賭けた戦いの先には多くの感動があった。

 

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連載いま激増する「社長作家」――その実像を探る

幻冬舎ルネッサンス新社 代表取締役社長

企画編集室・室長を経て現職。代表取締役となった現在も、毎月10冊以上の書籍編集に携わる。手がけるジャンルはノウハウ書、旅行記、写真集、絵本など幅広いが、特に得意としているのは小説と自叙伝。著者の出版目的を満たすことを重要視し、書き手と細かく議論を重ねる編集スタイルが特徴。これまで多数の重版実績を持つ。

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