信託の活用で「先祖代々の土地」を孫の代まで引き継ぐには?

今回は、信託の活用で「先祖代々の土地」を孫の代まで引き継ぐ方法を見ていきます。※本連載は、ウィル税理士法人編著(執筆:代表税理士の親泊伸明氏ほか)の書籍、『経営者と不動産オーナーのための信託・相続』(マスブレーン)の中から一部を抜粋し、「信託」を活用した不動産の相続対策をご紹介します。

財産を守りつつ子供の生活を保証し、孫の学費も捻出

<事例>

大阪市内在住の山田さん(80歳)は、広大な土地を相続してきました。これまで夫婦で高度成長時代に建築したビルの収入を中心に資金を貯め、相続が発生した際には土地の売却と貯蓄の資金で本家を守ってきました。

 

現在子供は4人おり、誰かに相続させなければと考えるようになりました。最近、身体も衰え、物忘れもひどくなり、認知症になり判断能力がなくなったらと毎日が不安になります。また、最大の悩みごとは、相続人(妻・子供4人)で相続争いが発生しそうで心配しています。

 

ご先祖様から受継いだ財産(本家宅等々)を守りながら、子供達の生活も保証し孫達の学費も捻出したいと考えています。

 

[図表1]

 

<問題点>

遺産を分割する場合、生前贈与する方法、遺言書を作成する方法、相続人全員で、遺産分割協議を作成する方法などがあります。いずれの方法も一長一短があり、どちらを選ぶか躊躇してしまいます。

 

今、新しい相続の形として注目を集めているのが信託による遺産分割です。親が存命中に財産の移転が完了するため相続争いを回避することができます。また、受益者連続型信託を活用すれば、財産を後世に円滑に継承することが可能となります。

 

[図表2]

受益者連続型信託を活用し、順番に財産を取得させる

<解決策>

①土地を信託財産とし、妻、子供と順番に財産権(貸地収入)を取得する受益者連続型信託を活用する。

 

②委託者山田さんは、受託者長男との間で、次のような信託契約を締結する。第一次受益者山田さん、山田さん死亡による第二次受益者(妻40%、長男・長女・次男・次女は各々15%)、第三次受益者は子供4人(妻の死後、受益権40%を平等に分配する)

 

③民事信託(家族信託とも呼ばれています)では、「受託者」として家族(例えば、長男、妻…)、一般社団法人(家族で設立)、信託会社(第三者)と自由に指定することができます。

 

<税金の取扱い>

①土地の名義は長男に移転しますが、税務上の実質所有者は、山田さんであり、貸地収入は従来通り、山田さんの不動産所得として確定申告を行います。

 

②山田さんの死亡により、受益権は、第二次受益者である、妻・子供4人に移転しますが、財産権(受益権)が相続税の対象になります。

 

③信託設定により、所有権が長男に移転しますが、不動産取得税、登録免許税は課税されません。ただし、信託登記費用は別途かかります。

ウィル税理士法人 代表社員税理士

昭和31年、大阪府出身。昭和52年に日本経営グループの菱村総合税務会計事務所(現 税理士法人日本経営)に入社。平成14年、現 ウィル税理士法人の代表社員として現在に至る。税理士、一級建築士、社会保険労務士、行政書士の資格を有する。

ウィル税理士法人WEBサイト:http://will-tax.co.jp/

著者紹介

連載「信託」で解決する不動産の相続トラブル

経営者と不動産オーナーのための 信託・相続

経営者と不動産オーナーのための 信託・相続

ウィル税理士法人

マスブレーン

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