(※写真はイメージです/PIXTA)

NHKの受信料の支払いは法律で義務付けられています。しかし、近時、受信料の支払義務をめぐって、NHKのあり方の問題も含め、大きな議論が起きています。また、政府から、インターネットを通じた番組視聴についても一定の費用負担を求める動きがあります。経済アナリスト・神樹兵輔氏の著書『世界一役に立つ 図解 経済の本』(三笠書房)から一部抜粋して解説します。

視聴しないNHKの「受信料」を払わされる理由

NHK(日本放送協会)の受信料は、2023年10月に1割値下げされましたが、衛星契約であれば、月額1,950円(沖縄県は月額1,815円)です。払込方法には口座やクレジットカードからの引き落としと、振込があります。

 

12ヵ月分前払いの場合は2万1,765円(沖縄県は2万0,267円)なので、毎月払いより年1,635円(沖縄県は1,513円)だけ安くなります。

 

現状、NHKの受信料収入は年間約7,000億円であり、これはNHKの収入の97%を占めます。

 

NHK受信料は、NHKの放送を「視聴していない」という人も、NHKを受信できるテレビ受信機が家にあれば、受信料を払わなければなりません。また、年金生活者や非正規社員等、収入が厳しい人たちも払わなければなりません。なぜなら、放送法64条1項に「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会とその放送の受信について契約をしなければならない」と定められているからです。

 

これに対し、NHKの職員(約1万人)の平均年収は約1,100万円と高すぎるので、もっと削減して受信料を値下げすべきとの声もあります。

 

なお、受信料の支払いが免除されるのは、生活保護で何らかの扶助を受けているか、家族の中に障がい者がいて市町村民税が非課税の世帯です。世帯主が障がい者の場合は半額免除です。

 

「NHKは有料契約者だけへのスクランブル放送にすべき」という声は多いものの、NHKや総務省には、そのつもりがないようで、受信料を巡っては争いが繰り広げられてきました。

 

2017年12月の最高裁判決は、受信機があるだけで受信料契約を結ばされるのは、「憲法13条の幸福追求権や憲法29条の財産権の侵害」「契約自由の原則に背く」という原告の訴えに対し、「契約自由の原則に何ら抵触しない」と判断を下しました。

 

また、2016年のさいたま地裁判決では「ワンセグ端末の付いた携帯電話は、NHKとの受信契約を結ぶ義務はない」という判断が示されましたが、2018年の東京高裁は一審の判決を取り消し、2019年3月の最高裁判決は上告を棄却し、「ワンセグ機能の携帯にも受信契約を結ぶ義務がある」と判決を確定させました。

総務省が「ネット視聴」への課金の動き…

NHKは「NHKプラス」(放送の同時・見逃し配信を提供)等のネット事業を拡大しています。

 

NHKの本来業務はテレビやラジオ放送で、現在はネットはそれらの補完という位置づけです。しかし、2023年10月18日に公表された総務省の公共放送ワーキンググループの「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)」において、ネット事業も本来業務として位置づけたうえで、NHKのインターネットでの番組配信を視聴する人に、受信料に準じた「相応の負担」を求める方針が示されています。

 

ただし、テレビ放送受信料と異なり、「相応の負担」を求めるのは「アプリのダウンロード」「ID やパスワードの取得・入力」「利用約款への同意」等をした人に限るという方向性が示されています。つまり、他のインターネットを通じたコンテンツ提供サービスと変わらない扱いがなされるということです。

 

今後、ネットの普及で世の中が変化する中、旧来のテレビ放送の受信料だけを特別扱いするのは難しくなっていくことが予想され、NHKも時代に合った方策を模索する必要があるといえます。

 

 

神樹 兵輔

経済アナリスト・投資&マネーコンサルタント

 

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