結婚後、夫からのモラハラに悩む女性は少なくありません。しかし、理不尽な暴言を受けて「すぐに離婚したい」と考えても、十分な準備や証拠がなければ、裁判で慰謝料や離婚そのものが認められないケースもあります。本記事では、結婚後に暴言を吐くようになった夫と別れるために、水面下で離婚準備を進める32歳女性の事例をもとに、山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏がモラハラ離婚を有利に進めるための証拠集めの手順を解説します。
「大黒柱は俺だ!」家の中でふんぞり返る〈手取り17万円〉のモラハラ夫…その水面下で、手取り22万円・32歳妻が進める「逆襲の離婚計画」【弁護士が解説】
冷めきったモラハラ夫への愛…水面下で進む「逆襲の離婚計画」
理不尽なモラハラを受け続けるうちに、ミキさんのなかでタケシさんに対する愛情は完全に冷めきりました。
反論すれば倍になって暴言が返ってくるため、ミキさんは言い返すことをやめ、表面上は従順な妻を演じるようになりました。
しかし、その裏でミキさんは、離婚へ向けて着々と行動を起こしていました。自分の給料から毎月数万円ずつを別の口座に移し、自立に向けた資金を貯め始めました。
さらに、タケシさんのモラハラ発言を密かにスマートフォンで録音し、暴言を吐かれた日時や内容を詳細に日記へ記録し続けています。
「目標の金額が貯まったらモラハラの証拠を突きつけ、慰謝料をもらって離婚する」と、ミキさんは静かに、しかし確固たる決意を固めています。
果たして、このように夫から理不尽なモラハラを受けるケースにおいて、妻側が有利に離婚を進めるためにはどのような手順を踏むべきなのでしょうか。また、水面下で集めた暴言の録音データや日記は、離婚や慰謝料請求の確たる証拠として法的に認められるのでしょうか。
【弁護士が解説】モラハラ離婚の「証拠」集めと財産分与の注意点
モラハラとは、暴言や人格否定などによって相手を精神的に追い詰める行為を指す言葉です。身体的な暴力がなくても、こうした言動が繰り返されれば、夫婦関係を壊す大きな原因になります。
もっとも、「モラハラを受けた」と主張するだけで、直ちに裁判で離婚や慰謝料が認められるわけではありません。裁判では、どのような発言が、どの程度の頻度・期間にわたって続いていたのかを具体的に示すことが必要になってきます。
その意味で、本件のように暴言の録音データや、言われた日時や内容を記録した日記などは、有力な証拠になり得ます。録音データは編集せず、元のデータを保存しておくとよいでしょう。
また、「へそくり」として別口座に移したからといって、そのお金が当然に妻だけの財産になるわけではありません。婚姻中の給与から貯めたお金であれば、離婚時の財産分与の対象となる可能性があります。
離婚を考え始めた段階では、感情的に相手へ切り出す前に、証拠と財産の状況を整理し、離婚後の住居や生活費まで含めて準備しておくことが大切だといえるでしょう。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
※個人の特定を避けるため、事例の一部を脚色しています。
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