兄のもとへ繰り返し金銭援助を求める年金暮らしの母と、「自称ミュージシャン」の弟。兄としてはなんとかこの無心を止めたいところですが、「手切れ金」を渡すことで絶縁することは可能なのでしょうか。弁護士法人山村法律事務所の山村暢彦弁護士が、事例をもとに解説します。
「53歳・無職の弟」と「年金暮らしの母」から何度も無心…手取り54万円・57歳長男が〈手切れ金80万円〉で絶縁宣言【弁護士が「扶養義務」の境界線を解説】
80万円の「手切れ金」で絶縁…実家からの着信拒否に踏み切った夫婦の決断
この異常事態に、タカシさんの妻は思い切った提案をしました。
「このままじゃ、私たちの生活まで壊されてしまう。80万円を手切れ金として渡して、もう二度と実家とは関わらないようにしましょう」
タカシさんも、「お金で解決できるなら払ってしまいたい」と同意。しかし、80万円を渡したところで、今後も「次の活動費が必要になった」などと理由をつけて無心されるのではないかという恐怖は消えません。
「手切れ金を渡すことで、親やきょうだいと本当に縁を切ることはできるのでしょうか。これ以上、母や弟に私たちの人生を脅かされないよう、法的に完全に絶縁する方法があるなら知りたいです」
タカシさんは現在も母と弟からの着信を拒否していますが、根本的な解決方法が見つからないまま、いつ家に押しかけられるかという不安を抱えて日々を過ごしています。
【弁護士が解説】「手切れ金」で家族と絶縁できるのか?
結論からいえば、80万円を「手切れ金」として渡しても、親子・兄弟姉妹という法的な関係が消えるわけではありません。むしろ、一度支払うことで「強く求めればまた出してもらえる」と受け止められ、さらなる金銭要求につながる可能性があります。
たしかに、民法上、直系血族や兄弟姉妹には扶養義務があります。しかし、それは親族の生活費、借金、趣味や活動費まで無制限に負担しなければならないという意味ではありません。今回のように、成人した弟の音楽活動費や、母親による度重なる無心にまで応じる義務があるとは考えにくいでしょう。
筆者も、親族間で執拗に金銭を要求される類似の相談を受け、相手方に対して警告文書を発送したことがあります。援助しないと決めるのであれば、「今後、弟の生活費・活動費・借金について金銭援助はできない」と明確に伝え、可能であれば書面やメールで通知しておくべきです。
それでも執拗な連絡、暴言、押しかけが続く場合には、弁護士から内容証明郵便で警告する対応も考えられます。深夜に自宅へ来て金銭を要求する、脅す、帰らないといった状況であれば、警察への通報も視野に入れるべきです。
大切なのは、親族だからといって抱え込みすぎず、自分と家族の生活を守る線引きを明確にすることです。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
【注目のセミナー情報】
【事業投資】7月7日(火)オンライン開催
《投資収益×税金対策》
「ワーキングブース投資」の全貌
【国内不動産】7月14日(火)オンライン開催
東急不動産HDグループの会社とオリコが全面支援!
インバウンド時代の「民泊・旅館業」投資戦略