新NISAの概要とメリット…改めておさらい

新NISAは、個人投資家向けの非課税投資制度です。この制度を利用することで、株式や投資信託を売却した際の収益には、通常約20%の税金がかかりますが、それが免除されます。そのため、資産がより効率的に増えることが期待できます。

また、新NISAは100円からスタートできるなど、投資初心者でも手軽に始められる設計となっています。

★新NISAの評価ポイント

新NISAの評価ポイントは大きく3点です。

①積立NISAと一般NISAが一体化

これにより投資の選択肢が増え、投資の幅が広がります。

②非課税になる上限金額が拡大

従来の積立NISAの特徴を持つ、主に投資信託の積立を行う「積立投資枠」、株式投資などスポットでの投資にも対応する「成長投資枠」が設けられ、積立投資枠の年間投資上限額が120万円、成長投資枠の上限隔が240万円、一生涯では1800万円に拡大され、まとまった資金にも対応できるようになりました。

③非課税になる期間が無期限に

積立NISAが非課税になる期間は20年以内、一般NISAは5年以内でしたが、新NISAは非課税になる期間が無期限つまり一生涯に。長期投資が可能になります。

新NISAは、金額の上限が拡大し、投資対象になる金融商品も広がって投資の幅が広がることで、さまざまな投資に対応できるようにバージョンアップしています。

新NISA、50~60代の老後資産形の一助に

老後が見えてくる50代、60代は、老後資産の形成がより重要です。一般的に、この年代の方々は、ハイリスクハイリターンではなく、安定的で堅実な収益を目指すことになるでしょう。

その点新NISAは、「非課税」というメリットを活かしながら、「長期・分散・積立」という堅実・効率的な資産運用を目指します。低リスクかつ安定性が重要になる世代の老後資産形成に有益だといえます。

人生100年時代、老後となる期間は、これまでになく長くなる可能性があります。また、最近はインフレ傾向が顕著であり、大切な資産を預貯金のまま放置していては、実質目減りとなることが確実です。

そのような状況下、定年後の生活資金として、新NISAは大きな役割を果たしてくれそうです。

新NISA、初心者から多く寄せられる「Q&A」

Q1. 家計に余裕がない場合はやめておいたほうがいいですか?

A1. 新NISAは少額から投資可能。家計に無理のない範囲で検討してみましょう。

100円という少額からでも活用できますので、まずは今できる無理ない金額からスタートし、収入が増えるまたはお子さんが巣立つ…などライフステージが変わり資金に余裕ができたら投資する金額を増やすというように、無理なく資産形成を行うことを考えましょう。重要なのは、家計に負担をかけずに老後に向けて長期的な視点で資産運用を進めることです。

Q2. 60代独身、アルバイト、投資初心者です。新NISAを始めるのは無謀ですか?

A2. 60代からでも資産運用は十分可能です。また、実際に推奨されています。

新NISAを利用すれば、少額から低リスクで始められ、退職後の安定した資産形成に活用することができます。また、少額からでも分散投資を心がけ、リスクを抑えた資産運用を行うことで、老後の後半の資金準備に役立ちます。

Q3. パート勤務で、まとまった資金のない私。縁のない話でしょうか?

A3. パート勤務の方にも新NISAは有用です。

NISA制度は100円から利用できるため、限られた収入の中でも資産運用を行うことが可能です。

選択する商品にもよりますが、長期的な視点で3%~5%の運用利回りを目指すことが可能です。将来に向けた堅実な資産形成が可能になります。

Q4. ところで、ジュニアNISAはどうなったのでしょうか?

A4. 2023年でジュニアNISAは終了しました。

2023年までにジュニアNISAで投資した商品については、非課税期間(5年)終了後、自動的に継続管理勘定に移管され、18歳になるまで非課税で保有することが可能です。2024年以降は、ジュニアNISA 口座で保有している株式や投資信託等および金銭の全額について、年齢や事由に関係なく、非課税での払い出しが可能です(以上、金融庁ウェブサイト)。

資産運用を継続する場合、とくに必要となる手続きはありません。

2024年からの制度変更に伴い、ジュニアNISA口座内の資産や現金の払い出しは非課税で行えますが、払い出しの際には口座内のすべての商品や現金を一括で出金する必要があり、その後口座は閉鎖されます。

成人に達する前の非課税払い出しの場合も、同様に全資産の出金と口座の閉鎖が必要になります。

「長期・分散・積立」…新NISAで賢く資産運用!

新NISAを活用した初心者向けの投資計画・資産運用とは、どのようなものになるのでしょうか。

まず前提として、投資の原則と言われる「長期・分散・積立」を守った運用を心がけることが重要です。その点、投資信託は「長期・分散・積立」を実現するのに適した金融商品だといえます。運用コストが安く、指数へのシンプルな連動を行うインデックスファンド、あるいはETF(上場投資信託)に投資することで、市場平均のリターンを目指すことが、資産形成の土台作りに役立つでしょう。

なお、長期・分散・積立の「長期」とは、10年以上の年月を前提としています。

投資初心者による資産形成の第一歩として、まずは「新NISA」を活用した「インデックス型の投資信託」で「10年以上積立を行う」ことを実践していただければいいでしょう。

「新NISA」はとても魅力的な制度

投資初心者で投資に不安がある方、資産にゆとりにない方は、まず少額投資からスタートしてみてはいかがでしょうか。重要なのは、なによりも行動を起こすことです。50代、60代の方はとくに、時間を有効活用していきましょう。

将来に向けた堅実な投資を、非課税で効率的に行える新NISAの制度は、とても魅力的です。この機会を活かし、いまからご自身の資産形成計画を立ててみましょう。

大久保 美伽
マネレボ株式会社 代表