配偶者を役員にするケースは多いが…
議員年金という恵まれた年金を受け取り、大きな資産を保有しながらもこのような状況になってしまった原因は、議員活動の忙しさから、会社の経営状態を見ようとせず、妻に任せきりにしてしまったことにあります。
永田さんのケースの場合、直接的にはコロナ禍が大きなきっかけとなりました。しかし、それ以前に事業の見直しを行ったり、今後収益を得られる見込みがない事業は整理したり、まして社会保険の適用など法令への適用状況は元国会議員という立場を考えればもっとしっかりチェックすべきだったことでしょう。
社会保険料・税金の「滞納」で倒産する企業は急増
事業を営んでいる以上利益を得て、会社のお金を残して、コロナ禍のようなピンチに強い体質を作っていれば個人資産を犠牲にしなければならないほどの事態は免れることはできたかもしれません。
実際、株式会社帝国データバンクの『全国企業倒産集計2023年11月報 別紙号外リポート』によると、昨年(2023年)には、社会保険料や税金の滞納で倒産する企業が急増し、過去最多となっています。コロナ禍の納付猶予の期限切れ後に破綻が相次いだようです。春江さんの場合は社会保険の適用に関して正しい知識を持ち合わせていなかったことが原因ですが、つまり、苦境の条件は当然ながらほかの企業も同じだったのです。
会社の規模が大きくなると得られる利益も大きくなる反面、掛かる固定費も大きくなります。そのため、コロナ禍のように売上が大きく減少してしまうような場合には短期間で一気にマイナスへ転じてしまう場合もあるのです。
そうした事態に陥らないためには、定期的に業績をチェックし、数字を見ながら素早く的確な判断をすることが重要です。
自分での管理が難しいのであれば、できる人に早々に譲渡したり、経営権を与えて自分は第一線を退くことで自社株をお金に換えることもできたことでしょう。
まだ会社に値段がつく状態で売却すれば金融資産を倍増させ、さらに運用しながら取り崩すことができれば、議員年金にさらに数百万円上乗せし、周りが羨むような豊かな老後の生活を送ることができたでしょう。売却したお金を元手に好きな仕事を始め、好きなことをして余生を送ることもできたはずです。
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