マンション購入目的の主流は「投資・転売・節税」

見切りをつけられたタワマンは、一気に「腐動産」コースへ

このように、タワマンは実需というよりは、投資・転売・節税の標的になりやすい。価格は需要と供給に左右されるが、特に国内外の投資家のうち、海外投資家は見切りを付けたら一斉にあっという間に市場から引いてしまう。買い替えなどこれから売却を検討している人は、為替相場などにも注視していただきたい。

また、タワマンを投資目的で買った人と、永住目的で買った人では、意識に大きな違いがある。資産価値を維持するには今後大きな課題となっていく。

親が組んだ高額ローンが返せない…「タワマン相続難民」が溢れる未来

日本の不動産マーケットを支える「富裕高齢層」

いま高騰している歪な日本の不動産マーケットを、投資・転売目的以外で支えているのは、日本の富裕層である。日本の富裕層は、高齢者がほとんどで相続税対策としてマンションやアパートを所有している。

しかし、これから大きな問題が起きそうなのである。

それは、相続人に相続されたあとも借入金は残っているため、借金であるローンをきちんと返せる運用ができるかどうか。

相続したマンションやアパートを、上手に運用したり、売却して高く売り抜けたりできたらセーフだが、資産価値が下がってしまうとローンすら返せなくなってしまう。親が節税のために良かれと思ってやったことが、相続人である子供が、親が組んだ高額ローンの返済に困ってしまう。

つまり、資産価値が保たれ、出口(エグジット)で借入金が返せるということが大前提なため、このシナリオが崩れると、次の世代で借金が返せず破産なんてことも考えられるわけだ。

皮肉な言い方をすると、親は相続を考えるほどの高齢なので、そう遠くない先に亡くなる。いま金融資産の多くが高齢者に偏っており、税金対策が盛んだが、人口のボリュームが多い団塊の世代が所有する不動産などが一斉に売りに出る可能性が高い。

そうなると、需要と供給のバランスが崩れ資産価値が下がってしまう。せめて借金返済分だけでも賃料が取れればいいが、いま日本の不動産マーケットは、投資・転売・節税目的も多く必ずしも実需で成り立っていないので、賃料も下がる可能性がある。

そのため、2030年以降は相続難民が溢れる可能性があるのだ。