横柄な弟から渡された大地主の父の遺産「2,000万円ぽっち」→「明らかに足りない」…母と姉で企てた、遺言で明かされる〈強烈な仕返し〉【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】

横柄な弟から渡された大地主の父の遺産「2,000万円ぽっち」→「明らかに足りない」…母と姉で企てた、遺言で明かされる〈強烈な仕返し〉【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

きょうだいがいる場合の相続対策は、財産分割に向けてよく話し合うことが必要です。言葉に出さないだけで、内心の感情はわからないものです。本記事では、母親の相続の準備を進める渋谷家(仮名)の事例とともに、相続人が複数いる場合の相続対策について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が解説します。

「息子夫婦には承継させたくない…」80歳母の相続対策

渋谷千江子(仮名)は今年80歳を迎えた。5年前に夫を病気で亡くし、大きなショックを受けたが娘が献身的なサポートをしてくれたおかげで、なんとか立ち直ることができた。

 

息子とは同居しているものの、夫婦ともに働きに出ており、孫がまだ小さいころはこちらで面倒を見てきた。息子夫婦は多少の買い物などでは協力してくれるが、あまり積極的ではなくむしろ近くに住む娘がいろいろな面で支えてくれている。

 

娘から再婚すると聞いた際には、娘の年齢的にも再婚することはないと思っていたので大変驚いたが、結婚した相手が娘の大学時代に交際していた相手(栗山氏:仮名)であり、その当時に何度か会ったことがあったためさらに驚いた。

 

栗山氏の話を聞くと、大学卒業後一般の企業に就職したが、その後一念発起し資格を取得したとのことであった。仕事に邁進するあまり婚期を逃してしまい、自らも「この年で結婚することになるとは思いませんでした」と当時と変わらない好印象のままであった。

 

また、栗山氏はもともと独身でいるつもりでいたようであり、将来必要となる資金などは計画的に貯金をしてきたそうだ。

 

出所:筆者作成
[図表3]渋谷家 家族構成(現状) 出所:筆者作成

 

最近、息子がしきりに銀行の支店長らと自宅で打合せをしている。夫の相続のときも、息子主体で取り決めをしており「お母さんはハンコとサインだけすればよい」と強引に押し切られてしまった。

 

最近も、孫(息子の長男)との養子縁組をするようにとのことで書類にサインをさせようとしたが、調子が悪いように装いサインはしなかった。

 

正直にいえば、息子とその妻に対してはあまりよく思っていない。昔から、自分たちが主体であり親はそれをサポートするものだとの態度が明らかである。

 

一生懸命に孫の面倒を見ているときもそれが「やって当たり前」かのようであり、感謝の言葉を伝えられることもなかった。取引銀行も息子の顔色ばかりを伺っており私や娘の意向については聞くそぶりも見られない。

 

最近では娘の献身的なサポートに報いるために資金面で援助を行っているが、取引銀行の口座から出金を行っていると下手すれば息子にも筒抜けになりかねないと思い、不動産の賃料入金口座はそのまま残したが、それ以外のほかの口座についてはすべて解約し別の銀行へ預け替えた。

 

銀行が慌てて連絡をしてきたが「こちらの都合なので」と一方的に電話を切った。

 

先日、息子が残高の減少に気付いたようで理由を聞いてきたが、素直に娘のために使っていると伝えた。「私はあなたより娘のほうが大切だ」と明確に伝えるために。また、可能であれば生前に自分のお金はすべて娘に渡していきたい。

 

いまの気持ちとしては、息子と共有になっている不動産は息子に承継させようと思うが、持っている預金と千江子の単独所有の不動産は娘に承継させるつもりである。

 

最近では、弁護士事務所に通い公正証書遺言の準備を進めている。意思能力の点で、後々息子から異議を申し立てられる可能性にも備え、医師から意思能力に問題がない旨の証明書(診断書)を受領した。息子が自分のことを一方的に認知症と決めつけてきているためだ。

 

来週には弁護士と公証役場に行く予定であり、これで安心して娘に承継することができる。

 

「付言」には娘の献身的なサポートに対する感謝の気持ちをきちんと残した。相続の内容については「あくまでも自分の遺志」であり、娘にも息子にも内緒で進めていたものであり、決してどちらかの肩を持ったものではない、ということを明確にしておいた。

まとめ:相手が悪いとは限らない!家族と話し合って決めよう

・相続対策は自分がすべてを決めるものではなく、家族や親族の意見も聞くことが必要であること
・言葉に出さないだけで、内心「負の感情」を抱いていることもあること
・「男性」であるから当然に承継する(あるいは「承継できる」)、というものではないこと
・50代の承継においては仕事が繁忙であり、細かい点(特に利害関係者の心境)で疎かになりがちであること
・自分にとって不利益な点については、すべて相手に問題があるとの先入観をもってしまうこと
・特に後継者や当主と目されると周囲の関係先(銀行や不動産業者など)が自分のことばかりを立てるようになり、謙虚さを失いかねないこと
・円滑に行うためには細部にも意識をしながら謙虚な態度で俯瞰して承継の対応を進めること

 

以上のポイントを押さえることが重要である。

 

 

小俣 年穂

ティー・コンサル株式会社

代表取締役

 

<保有資格>

不動産鑑定士

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

宅地建物取引士

 

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