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相続人の範囲についての知識がなければ、あなたは相続人が誰になるのかが分からず、困るでしょう。なぜなら相続人の範囲を知ることは、様々な相続のことについて知るためのスタートであり、相続人の範囲が分からなければ、誰がいくらの遺産を相続できるか等を知ることができないためです。相続が発生していない人も、すでに相続が発生している人も、最初に知るべきは、誰が相続人になるのかという相続人の範囲です。そこで相続人の範囲について、フローチャートや相続関係図を用いて解説していきます。

よくある相続人の範囲についての3つの疑問点

これまで相続人の範囲について、図やフローチャートを用いて解説してきましたが、上記以外でもよく相談を受ける相続人の範囲についての3つの疑問点(養子、隠し子、胎児)がありますので、これから解説していきます。

 

養子は相続人になる

養子縁組とは、血の繋がりとは無関係に、役所に申請をすることで法的な親子関係を発生させることをいいます。たとえば、幼い頃に親が事故で亡くなってしまった場合に育ての親と養子縁組するケースや、資産家の方が相続税の節税対策のために養子縁組をする(相続人の人数が増えれば相続税が安くなるため)等といったケースがあります。この養子縁組には、「普通養子」と「特別養子」の2種類があります。

 

・普通養子:実親との親子関係を継続した状態で、養親の子となります。このため、実親と養親の双方の子として相続人になります。

・特別養子:実親との関係は消滅し、養親の子として相続人になります。

 

いずれのケースでも、養子縁組をした養親の子として相続人になりますが、実親の子の立場が消滅するかどうかに違いがあります。物心がついていない幼い時期に養子縁組をしているケースですと、自分が養子縁組したのかどうか知らないまま大人になることもあります。

 

この点については、養子縁組をしていると、戸籍には、通常であれば「父」や「母」といった記載しかありませんが、「養父」「養母」という記載が出てくるため分かります。養子縁組をした時期についても記載があります。またその際に、「養父」「養母」のみの記載で、実親である「父」や「母」の記載がなければ、普通養子ではなく、特別養子であることが分かります。

 

隠し子は認知の有無次第

隠し子という言葉がありますが、法律上は、「婚姻関係にない男女間に生まれた子」という解説になります。この隠し子が相続人になるかどうかは、「認知」しているかどうかで異なります。認知とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子を、父親が自分の子であると役所に届出を行い、認めることをいいます。

 

・認知している場合:相続人になります

・認知していない場合:相続人になりません

 

このように、認知しているかどうかによって、子が相続人に該当するか否かが決まるため、子の立場としては重要な事実となります。なお、結婚して子が生まれ、その後で離婚をした場合には、婚姻関係がある間に生まれていますので、認知の有無に関わらず当然に子として相続人になります。

 

この認知の有無についての調べ方は、戸籍を確認することで分かります。認知されていなければ、戸籍上には何も記載が出てこないためです。認知されていなければ、仮に血のつながった父親がいても、相続人に該当しないため、相続権がありません。

 

認知は父親が生きている間に役所に届出を行わないと成立しませんので、あなたが仮に認知されていない子であることを知ったのであれば、認知のお願いを父親にすることも選択肢の一つに入るでしょう。

 

胎児は相続人になる

お腹の中に赤ちゃんがいる時に、夫が不幸にも事故や病気等で亡くなった際、胎児であっても、相続人として財産を相続することができます。これはまだ産まれていなくても、すでに産まれたものとみなすという民法により定められています。

 

ただし、不幸にも死産であったようなケースでは、もともと相続人ではなかったものと考えることになります。配偶者については、必ず相続人になるという大原則を冒頭で紹介しましたが、たとえば夫が事故で亡くなった際に、胎児が無事に産まれてくるかどうかで相続人の範囲が変わります。

 

①胎児が産まれてきた場合:妻と子が相続人になります。

②胎児が死産した場合:妻と第2順位(夫の父か母、いなければ第3順位の夫の兄弟姉妹)の立場の人

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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