(※写真はイメージです/PIXTA)

どんなに重要でも、身内の間ですら切り出しにくいテーマの一つが「相続」。親が亡くなった後の遺産分割協議まで先延ばしにしてしまうパターンも少なくありませんが、「相続が発生する前に、親と子の間で相続について取り決めをしておくことが大事」と、不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は忠告します。牧野氏の著書『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より、先を見越した相続対策の重要性を、事例を挙げて見ていきましょう。

祖父のローンの連帯保証人になった孫に起こった悲劇

賃貸マンションを取得して5年後に相続が発生。マンションは無事、お孫さんに相続されました。ところがこのマンション、築年が古いうえに管理が悪く、不逞の輩が棲みつき、ほかの賃借人が怖がって逃げ出すようになり、賃料収入が安定しません。

 

投資を強く勧めた税理士は、「私は不動産のことはちょっとわかりません」と逃げ回り、不動産会社は「うちに瑕疵はありません」と開き直る。どうにもなりません。

 

長男は「目の前の対策ばかりに気を取られ、家族内でちゃんとどのように資産を継承していくのか、理念のようなものが共有できなかった」と嘆きました。大借金を背負ったお孫さんも、このおじいちゃんが残していったマンションが一体何のためだったのか、大いなる不信感と多額の借金の前に呆然とするだけでした。

 

この話、結果として農地の大半を売却できたことで、最終的には借入金も返済でき、マンションは二束三文で売り渡すことで難を逃れましたが、せっかく守ろうとした財産はいくばくかのお金に換わっただけになりました。Aさん、長男、そして孫の間に全く意思疎通がないまま、目の前の対策だけに目を奪われた結果、引き起こした悲劇だったといえます。

 

相続という、あまり考えたくはないものの、家族にとっては非常に大きな問題について、家族同士で状況を共有化し、財産をどのように引き継いでいくか、その方向性を定めていくことは非常に重要なことです。

 

ところが、それを親だけの想い、例えば節税したいという理由だけで勝手に行動する、周辺でちょっと甘いささやきがあるとその話に安易に乗ってしまう、など相続に関して家族間で何も話し合いが行われないのは、とても残念なことです。

 

ようやく会議が開催されるのは親が亡くなった後の遺産分割協議です。この段になると、子供だけでなく子供の配偶者までが参戦して、収拾がつかなくなります。表面上は仲良さそうにしていても、相続となって目の前にお金が登場すると、人は本能を剥き出しにします。

 

こうした修羅場を迎える前、つまり相続が発生する前に、親と子の間で相続について取り決めをしておくことが大事です。

 

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※本連載は、牧野知弘氏の書籍『負動産地獄 その相続は重荷です』(文藝春秋)より一部を抜粋・再編集したものです。

負動産地獄 その相続は重荷です

負動産地獄 その相続は重荷です

牧野 知弘

文藝春秋

資産を巡るバトルでも相続税対策でもない。 親が遺した「いらない不動産」に悩まされる新・相続問題が多発! 戦後三世代が経過していく中、不動産に対する価値観が激変。 これまでは相続財産の中でも価値が高いはずだった…

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