紆余曲折あったが…「大規模修繕」のおかげで3年前より高値に

2年後、定年を迎えた。以前の給料の6掛けにはなったが、無事に圭司さんの再雇用も決まった。また退職金は約2,300万円であった。

2回目の大規模修繕については、2年間の役員任期中には、話がまとまらなかった。腐食が確認された給水管について、既存配管の内側の錆を落として塗膜でライニングし延命させる「更生工事」を行うのか、高性能ポリエチレン管やステンレス管など最新技術の新しい配管に取り替える「更新工事」を行うのか、理事会として結論が出なかったからだ。

ただし、任期中にいいこともあった。長期滞納され裁判により分割払いになっていた部屋が売却され、滞納が解消された。これで管理組合の会計収支に影響を与えるほどの目立った滞納者はいなくなった。

大規模修繕については、次の役員の任期中に臨時総会が開催され、無事に承認された。長期滞納者がおらず、一時金などの徴収がなかったのもスムーズに承認された要因であろう。結局、大規模修繕の検討から工事完了まで、3年ほどかかったが、マンションは見違えるほどキレイになった。

査定額は3年前より100万円アップ…すぐに売却が決まり、2人は新築マンションへ

大規模修繕が終わってすぐに、不動産会社と媒介契約を締結し売却活動をスタートさせた。3年前の査定額より、築年数が古くなったにもかかわらず、査定額は100万円ほどアップした。一方、ローン残債は、約3年にわたる毎月の返済と繰り上げ返済により、約1,800万円から1,000万円になった。

まもなくして、小さい2人の子供がいる30代の夫婦に売却が決まった。駅からは少し遠いが部屋の広さと共用部分のキレイさが決め手だったそうだ。内装は購入後に最新設備などに入れ替えるリノベーションを行うという。

売却代金からローン残債と仲介手数料を引いた2,500万円と退職金から1,800万円(500万円は取得税や保険料などの諸費用とイザという時のために手元に残した)をあわせた4,300万円を頭金に、駅から徒歩5分、2LDK53m2の5,100万円の新築マンションへ買い替えをした。