(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年より加入可能年齢が原則65歳になった「イデコ」ですが、50代以降の人たちの間では、運用期間の短さを理由に加入を諦めてしまう人も少なくありません。それだけではなく、「イデコの受給開始時期や国民年金の任意加入に対して、誤解をしている人が多い」と、証券アナリスト(CMA)資格も持つ日本経済新聞編集委員、田村正之氏はいいます。田村氏の著書『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』より、詳しくみていきましょう。

2022年10月からは企業型DCとの併用も容易に

2022年9月までは企業型DC導入会社でイデコを併用するためには、会社掛け金の上限額を下げる規約変更が必要でした。反対する社員も多く、導入会社の数%しか併用できていませんでした。それが同年10月からは規約変更なしで併用可能になっています。

 

企業型DCの上限枠は、他にDBなどがなければ月5万5,000円、ある場合は半分の月2万7,500円です(この規定は2024年12月に変わります)。

 

他に企業年金がない場合の企業型DCの枠は月5万5,000円とはいえ、実際は会社掛け金が1万円以下の加入者が半数で、この場合4万5,000円の枠が余っていることになります。例えば企業型DCで会社の掛け金が数千円ではあまり老後資金が積み上がっていきません。それなのにイデコは使えないというのは逆に不公平ということで、併用が容易になりました。

 

ただし、イデコの上限額をそのまま併用できるとは限りません。会社掛け金とイデコの合計額を、企業型DC掛け金の上限額以下にすることが条件です。[図表2]で具体的にみましょう。

 

出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋
[図表2]2022年10月からのイデコ併用上限額例 出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋

 

 

月5万5,000円の場合で説明します。会社掛け金が1万円の場合、企業型DCは4万5,000円の枠が余っています。イデコ上限額は様々ですが、企業年金が企業型DCだけなら月2万円で、この場合2万円全額が併用できます。

 

一方、役職や年齢が上などの理由で会社掛け金が月4万円の場合、企業型DCの枠は月1万5,000円までしか余っていません。この場合は、イデコの上限額が2万円でも、1万5,000円分だけ積み増せるということです。

 

次に、企業型DCとDBの両方があり、イデコの上限額は月1万2,000円で、DC全体の上限額が月に2万7,500円のケース。会社掛け金が2万円なら枠は7,500円しか余っていません。イデコは1,000円単位なので、この場合、7,000円が併用できることになります。

イデコ併用で長期では1,500万円増も

企業型DC導入会社でイデコの併用が容易になったのは、かなり大きな改善です。

 

最大のものはイデコ運用の上積みによる資産を増やす効果です。運用のセオリーは国際分散です。過去30年では世界株指数は年率換算で約7%上昇しました(配当込み、円ベース)。ただこれを慎重に年4%として、会社掛け金月1万円を30年積み立てる場合と、個人でイデコ2万円上積み後に3万円を積み立てる場合を比較してみましょう。

 

月3万円の場合、累計積立額1,080万円に対し資産は2,080万円に増えます。さらにイデコ掛け金の節税効果(掛け金×税率)が216万円加わります。会社掛け金1万円だけの場合との差は1,600万円強にもなります。

 

出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋
[図表3]イデコ併用の効果は? 出所:『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP)より抜粋

 

 

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※本連載は、田村正之氏による著書『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

間違いだらけの新NISA・イデコ活用術

間違いだらけの新NISA・イデコ活用術

田村 正之

日経BP 日本経済新聞出版

“プロ”や周囲の言葉に惑わされちゃダメ! 新NISA時代にイデコ、公的年金も組み合わせた資産運用は、実際にどうすればいいのか? □一括より積立投資が有利? □株の比率は年齢に応じて変える? □一番資産を増やせるの…

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