※画像はイメージです/PIXTA

米国の中国に対するスタンスはトランプ政権時代に劇的に変わり、それは、トランプ政権への反感を露わにしているはずの現在のバイデン政権にも概ね引き継がれています。本稿では、香港の金融調査会社ギャブカルのリサーチヘッドであり、米国の米中関係委員会(NCUSCR)のメンバーでもあるアーサー・R・クローバー氏による著書『チャイナ・エコノミー 第2版』(白桃書房)から、現在の米国の対中政策の考え方を解説し、今後を考察します。

米中は共存できるのか?

中国が米国に隷属する存在で満足することは決してない。一方で、長期的に見ても、米国の優位を覆す力は持っていないだろう。

 

中国の今後の人口構成や経済の展望が不透明なこと、米国経済には未開拓の大きな可能性があること、そして言うまでもなく、米国主導の世界秩序が頑丈で、豊かであることから、中国が米国から技術的・文化的・政治的リーダーの座を奪う可能性も低くなる。

 

ただし、この前提条件として、米国が賢明に行動して自国の強みを強化する必要があるが、この点には今、懸念が持たれている。

 

中国は1980年以降のリーダーたちの下で、現実主義と慎重さを示してきた。習近平は以前の政権より押しの強い政策をとり、それらの政策の開始からわずか5年のうちに[編集注:原著執筆当時。ただし現在も同様の政策が続いている]、重大な政治的、経済的、財政的制約にぶつかっている。したがって、習近平や今後の中国のリーダーが、方針をもっと現実的な方向に戻す可能性も否定することはできない。

 

中国がより多くの威信と影響力を持つような場を、それが可能な範囲では作り出すことも不可能ではない。しかし、世界の政治経済のシステムの中核は、米国主導のシステムであり続けるだろう。

 

なお「封じ込め」戦略は、不安定で停滞していたソ連に対しては最終的には有効であった。しかし、活気があり順応性があることが証明されている中国に、効果を発揮する可能性は低い。

 

世界には、米国と中国の両方の体制が存在し得る余地がある。ただしそのためには、両国の人々が、平和的な共存が、追求するに値する目標だと納得する必要がある。
 

 

アーサー・R・クローバー

香港金融調査会社ギャブカル

リサーチヘッド

 

※本記事は、THE GOLD ONLINE編集部が『チャイナ・エコノミー 第2版』(白桃書房)の一部を抜粋し、制作しました。

 

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