※画像はイメージです/PIXTA

中国は1978年に始まった「改革開放」以降、目覚ましい経済成長を遂げ、現在は日本の経済規模の3倍以上となり、米国の約3分の2に迫りました。劇的な経済成長に伴い、日本や台湾、フィリピン、ベトナムなど、周辺国・地域に対する強硬な態度が目立つようになってきました。本稿では、香港の金融調査会社ギャブカルのリサーチヘッドであり、米国の米中関係委員会(NCUSCR)のメンバーでもあるアーサー・R・クローバー氏による著書『チャイナ・エコノミー 第2版』(白桃書房)から、中国の経済規模は世界最大になるのか、また世界最大になったら何が起きるのか、解説します。

中国経済が「世界最大」になっても無意味!?

中国の人口は2020年代後半に減少し始め、2050年までには中国社会は今の日本と同じくらいに高齢化する。米国はまだ若年層が伸びており、中国よりも人口構成が若くなると予想される 

 

しかしここでは、10年後に中国が米国を追い抜いて、世界最大の経済になったと仮定してみよう。それは何を意味するのだろうか。

 

簡単に答えるならば、「それほどの意味はない」。中国の人口は米国の人口の4倍以上だ。

 

したがって、いつか中国のGDPが米国より大きくなったとしても、まったく不思議ではない。それでも、中国が米国を追い抜いて世界最大の経済になる時、人口1人当たりのGDPは、理論的には米国の4分の1に過ぎない(人口が4倍であるため)。

 

したがって、中国経済は米国経済よりも大きくはなるが、米国より貧しい経済でもある。この経済規模が国際的な影響力にどう転換されるかは、技術力と政治的なポジション次第だ。

 

歴史を見ると、最大の経済国が常に最も重要な国とは限らなかったことがわかる。1800年には中国経済は世界最大だった。しかし、世界への影響力においては、英国をはじめとした欧州諸国にはるかに劣っていた。

 

技術的な進化の速度で、中国は欧州に大きく遅れていたからだ。19世紀に決定的な要因となったのは、欧州の技術力の高さであり、GDPで見た欧州経済の規模ではなかった。

 

一方で米国経済は、1870年代半ばに世界最大となり、その時点ですでに新技術の開発をリードしていた。しかし、米国が世界で最も重要な国として台頭したのは、その70年後の第二次世界大戦後である。それまでは依然として英国が大きな影響力を発揮していた。

 

巨大な大英帝国と貿易網の支配、英ポンドの独占的な地位、国際金融の中心地としてのロンドン、そして米国の政策に強い孤立主義の傾向があったことなどから、英国が影響力を持っていた。

 

したがって、中国の今後の世界への影響力について考えるには、その経済規模よりも、これまでに示された影響力や、指導部が現在の地政学的な世界秩序を修正、あるいは塗り替えようとする欲望、そして技術面での能力についても検討する必要がある。

 

 

アーサー・R・クローバー

香港金融調査会社ギャブカル

リサーチヘッド

 

※本記事は、THE GOLD ONLINE編集部が『チャイナ・エコノミー 第2版』(白桃書房)の一部を抜粋し、制作しました。

 

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