障害者雇用者は年々増加傾向にあるものの、知的障害者の場合は3割の人が1年以内に離職しています。その要因のひとつが「職場でのストレス」。知的障害者が職場や日常生活で感じるストレスとは何か、また、そのストレスとの付き合い方について解説します。

知的障害者がストレスとうまく付き合っていくためには

職場でも日常生活でも悩みやストレスを抱えやすいのが知的障害者の方の生きづらさだと思いますが、ストレスを完全に無くすことはできないので、できる限りストレスを軽減し、うまく付き合っていくことが大切です。

 

では、具体的にどういった対処法があるのでしょうか。

 

ストレス反応に気づく

ストレスが溜まると精神面や身体面にストレス反応が出ます。精神面では、物事に集中できない、忘れやすい、気分が落ち込む、などです。このような状態に気づかず、慢性的にストレスを抱えてしまうと、うつ状態や不眠症などを引き起こすこともあります。

 

身体面では、過呼吸、めまい、頭痛、胃痛、発疹など体のあらゆるところで不調が表れます。本人は気づけなかったり、なんとなく気づいていても自分から伝えられなかったりするので、家族や支援者、職場でも普段と違う様子に気づいてあげることが大切です。

 

リラクゼーション方法を取り入れる

心身の緊張を緩めるリラクゼーション方法を身につけることもストレス解消につながります。簡単なところでは、腹式呼吸をしてリラックスしたり、ストレッチをして身体の緊張を解いたり、体の凝りをほぐしたりするとよいです。

 

適度な運動

適度な運動を習慣化することで、定期的にストレスを解消し、溜め込まないようにすることも大事です。適度に運動をすると交感神経の興奮が抑えられ、副交感神経の働きが優位になり、リラックス効果が得られます。

 

言葉を使って感情をコントロール

自分自身にポジティブな「勇気の出る言葉」を投げかけるとストレスが緩和されると言われています。ストレスを感じてイライラしたり、気分が落ち込んだりしてしまう時に、感情をコントロールするための「自分だけの言葉」を用意し、自分自身に語りかけます「落ち着こう」「大丈夫」「自分ならできる」等のシンプルな言葉で、気持ちを落ち着け、ストレスを緩和できることがあります。

 

快適な睡眠

睡眠時間を十分にとることと良質な睡眠をとることはストレス発散になります。睡眠の質も大事で、安心してリラックスして寝られる環境づくりや、寝具の改善も効果的です。寝付き、寝起きが悪い、途中で起きてしまう等の問題がある場合は、医療で解決できる場合があるので、専門家に相談するのもよいでしょう。

 

相談できる相手をつくる

悩みを他人に話すことで、自分のストレスを客観的に捉えられることがあります。他人の視点から自分では思いつかなかったストレス解消法が見つかるかもしれません。家族や友人、支援者や職場の人で、ちょっとしたことでも気軽に話せる相手をもっておくことが大事です。そして、ストレスが心身に異常をきたしている場合は、我慢せずに早めに医師に相談しましょう。

 

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以上、知的障害者の職場や日常生活でのストレスとその対処法についてまとめてみました。ストレスと上手く付き合って、心身の疲れはなるべく溜め込まないように気をつけたいですね。

 

知的障害者の方が自分らしく生活できるよう、周りの支援者や職場と連携しながら、助け合える環境づくりをしていきましょう。