(画像はイメージです/PIXTA)

人々を熱狂させるプロスポーツには、景気や株価を上向きにする力があります。日本が世界の壁を破るにはどんな戦術が必要なのでしょうか? Leo the football氏(著)、木崎伸也氏(構成)による書籍『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、真理の一つ「サイドバックは低い位置で張ってはいけない」を見ていきましょう。これを5大リーグで実践している監督はペップ、アルテタ、シャビ、トゥヘルなどかなり少数ですが、実践者たちが結果や一定の成果を残していることは紛れもない事実。サッカー観戦がもっとアツくなる知識を紹介します。

【実例】アーセナルvsバルセロナ(21-22シーズン)

具体的にこれを実行しているのがアルテタ率いるアーセナルと、シャビ率いるバルセロナ(アラウホがサイドバックに起用されない試合)です。講義を作成したのが21-22シーズンなので、もし現在とやり方が変わっていたらご容赦ください。

 

アーセナルはビルドアップ時にサイドバックがペナルティーエリアの幅くらいに立ち、「2-3-5」のような陣形になります。サイドバックが「ハーフフロント」に立ち、ボールを受けたときに外側の斜め前(ウイング)にも、内側の斜め前(インサイドハーフ)にもパスを出せるようになっていることがわかると思います(図表5)。

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表5]アーセナルの陣形 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

アーセナルの特徴はインサイドハーフが高い位置を取り、ウイングをサポートできる構造になっていることです。

 

たとえばウイングがインサイドハーフにパスを出し、インサイドハーフがダイレクトで落とせば、ワンツーでDFラインの裏を狙うなど複数のコンビネーションが可能です。ただし、インサイドハーフがライン間に静的に立ってパスを待つことが多く、後方からのボール前進をサポートしにくいというデメリットもあります。

 

一方、バルセロナもサイドバックが「ハーフフロント」に立つのは同じですが、アーセナルと異なるのはサイドバックがペナ幅より少し外側くらいに立つことです。「4-1-3-2」のような陣形です。アーセナルに比べてサイドバックが外にいるので、ウイングへのパスコースが消されやすくなりますが、その分、インサイドハーフが下がってきてサポートします。

 

インサイドハーフが上下動するためライン間にスペースが生まれやすいのですが、その割を食うのがウイングです。周囲のサポートが乏しい中、独力でサイドを突破しなければなりません。

 

バルセロナの特徴は、さらにセンターフォワードも中盤に降りて縦パスを受けようとすることです。いわゆる「偽9番」ですね(図表6)。選手が自由に中央のエリアでポジションを入れ替え、それによってフリーの選手をつくろうとするサッカーです。

 

出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)
[図表6]バルセロナの陣形 出所:Leo the football(著)、木崎伸也氏(構成)『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)

 

いずれにせよアーセナルとバルセロナはサイドバックが「ハーフフロント」に立ってパスの迂回経路をつくり、敵陣へのスムーズな侵入を実現しています。GKを頂点にした逆三角形に近い形になるので、僕は「逆三角形理論」と呼んでいます。

次ページもしサイドフロントでボールを受けたら、一刻も早くバックパス

※本記事は、サッカー戦術分析YouTuber・Leo the football氏著、木崎伸也氏構成の『蹴球学 名将だけが実践している8つの真理』(KADOKAWA)より抜粋・再編集したものです。

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理

著者:Leo the football
構成:木崎 伸也

KADOKAWA

「ミス待ちサッカー」で世界の壁は越えられない。 日本一チャンネル登録者数が多いサッカー戦術分析YouTuber「 Leo the football」が、日本全体の戦術レベルを底上げする〈知性を使ったサッカーの原則〉を徹底解説。 …

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